2023年6月22日2023年6月22日お肌のトラブルケア

がん緩和ケアにも活用されている“香りの療法”

がん治療の大きな柱である緩和ケア

一般的に「緩和ケア」と聞くと、がん末期患者の

ホスピスを連想される方が多いと思います。

かつては、がん終末期における痛みの治療を中心とした心身的ケアが中心でした。

ところが、厚労省の指針でがん治療に新たな柱ができました。

それが緩和医療(緩和ケア)です。

元々末期がん患者の終末期医療から始まった分野ですが、

今ではがん治療の初期から導入するように薦められています。

 

 

 

 

がんによる痛みを麻薬などで和らげるのが主でしたが、

がんの告知から患者の病気や仕事などへの不安を

軽減するなどの精神的ケア

そして食事管理に至るまで、

がん治療が滞りなく進められるための

サポート医療というより、がん治療の大きなとして発展しています。

 

 

現在の医療では「緩和」というキーワードが重要

がん治療認定医機構を設置してがん専門医の育成を進め、

さらに国の政策医療として全国どこでも質の高い

がん医療を受けられるようにと、日本中にがん拠点病院を厚労省が指定しました。

この病院の勤務医そしてがん治療専門医を目指す者全てが、

厚労省が指定する緩和ケア研修を履修しなくてはならなくなったわけです。

 

それ程、現在の医療は「在宅」「口腔ケア」に加え

「緩和」というキーワードが重要になってきています。

 

現在のがん治療は、手術以外はなるべく通院治療でというのがトレンドです。

それにより、精神的ケアが患者さん自身やその家族によるところが増してきています。

薬物に代表される医療的アプローチによっても、

がん患者を取り巻く心身的QOL を充分に向上させるのは難しいのが現状です。

 

そこで、アロマセラピーに代表される香りの療法に注目しました。

香りを用いた療法は、20 世紀初頭から

ヨーロッパを中心にとして、植物から抽出した

精油を用いて心と身体の健康増進を目的としたアロマテラピーが広く知られています。

 

 

 

植物療法の香りを用いた療法

日本においては、近年介護施設での介護士などの

癒しなどを目的に導入されつつありますが、医療現場への導入は進んでいません。

 

そこで私は、がん患者におけるがん治療時の緩和ケア

あるいは終末期ケアでの心身的サポートの1つとして、

植物療法の香りを用いた療法をセルフケアという形式で導入しています。

 

香り療法には、天然の水溶性植物水を用いています。

その種類は通年で使用可能な4種類

(ラベンダー、ひのき、レモングラス、カサブランカ)と

季節限定の香り数種類(バラ、ゆず、イチゴ、桜 他)です。

 

 

 

 

患者がその日の気分で当日使用する植物水を自ら選択し、

超音波アロマディフューザーにて噴霧してもらいます。

これにより、がん治療の副作用で弱っている心身に

「やさしさ」「やすらぎ」の時間を得られ、

アンケート式QOL 質問票を用いて調べた結果では、

「行動力」「交友」「身体の調子」「食欲」「不安」「睡眠」といった項目でQOL の改善がみられました。

 

 

香り両方の注意点とは

病院並びに介護施設においては消臭が目標であり、

その逆の香り付けは通常では行わない。

在宅においても病人に対しては同様となります。

 

そこで先ず「香りの療法」の条件を検討しました。

1. 簡便性(操作性):使用器具、操作、設定、調整が簡便であること。

2. 残香性(持続性):短時間で香りがなくなること。

床に溢れた際に拭き取りが容易で残香がない。壁などに浸透しないこと。

3. 移香性(拡散性):特定の個人にのみ使用となるため、

個室での使用。他部屋への香りが漂わないこと。香りが衣類(白衣)に移らないこと。

4. 安全性:誤飲、誤用への安全性

 

植物療法での香りには、オイル系と水溶系の両者に

さほどの差はないが、アロマ療法等の専門家ならば

調整等も容易かもしれないが、実際に病院内で勤務する医療従事者のほとんどはその知識は乏しい。

 

 

 

 

これは在宅でおいても同様です。

日々の医療・看護業務での新規取り組みでは「簡便性」と「安全性」が重要です。

その点から、不純物が入っていない

天然の水溶性アロマウォーターで、

かつ無農薬で国産の天然植物水を用いることにしました。

その条件で、「Kanwa 香」(株式会社やすらぎ農業)という植物水を選択し使用しました。

 

特に、抗がん剤治療中の場合には臭いに敏感であり、

香り付けの一般的なアロマオイルはその臭いが強過ぎて、

かえって不快感を出させてしまうことがありますが、

今回使用した植物水は微香性でかつ香りが残らない点は、多くの患者からの好印象を得ています。

 

 

まとめ

2人に1人はがんになる時代。

先がはっきりとみえないがん治療を前に不安が付きまといます。

そんな時こそ「緩和」が活きてくると期待しています。

それぞれが、いずれ自分あるいは家族のためになるかもしれない

「緩和」に目を向けてみてください。

 

 

(引用:日本スキンケア協会会報誌vol.10)

 

 


記事

内山公男 先生

・医学博士 歯科医師

・慶応義塾大学客員講師

・日本スキンケア協会 理事

 

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