柔軟でみずみずしい肌にする「加水分解卵殻膜」

カテゴリー:大学教授に学ぶ正しい化粧品の知識

2020年5月11日


柔軟でみずみずしい肌にする「加水分解卵殻膜」

 

今回は、美容成分・柔軟でみずみずしい肌にする「加水分解卵殻膜」についてお伝えしていきます。

 

 

卵殻膜は、卵のなかで育つヒナを優しく保護し、ヒヨコに成長するまで、

外界(微生物など)から守る皮膚のような役割をしています。

 

 

卵殻膜は厚さ70 μm の薄膜で、主に外膜と内膜から構成されています。

古くから、傷の治療に効果が認められており、

漢方薬の集大成である「本草網目」にも記載されています。

 

 

ニワトリGallus gallus domesticus Brisson (Phasianidae) の

卵殻膜をアルカリ加水分解して中和、脱塩、精製し、

スプレードライして可溶性にした加水分解卵殻膜は、

 

 

ハリのある肌を保つため必要なヒアルロン酸やコラーゲンを

産生する線維芽細胞を増やし、

赤ちゃんのような肌の柔らかさを生み出すIII型コラーゲンの

産生を促進して、柔軟でみずみずしい肌にすると

期待されることが報告されています。

 

 

関連記事:様々な機能性がある「ヒアルロン酸誘導体」に関するページはコチラ

 

 

加水分解卵殻膜は可溶性卵殻膜ケラチンを含む粉末で、

EMプロテイン-Pの商品名で販売されています。

 

 

卵殻膜の主成分はタンパク質(ケラチンの一種)で、

これにへキソースを主にした糖が結合した糖タンパク質として存在し、

他に脂質(コレステロール、スフィンゴミエリン等)、カルシウム等が含有されています。

 

 

EM プロテインのほとんどがアミノ酸やペプチドで、

その他は糖、脂質、カルシウム等です。

EM プロテイン-P は水に30%まで溶解します。

 

 

50%エタノール、90%プロピレングリコール、

65%1,3- ブチレングリコールに対して5%濃度で安定しています。

EM プロテイン-Pは、中性~アルカリ性で安定です。

 

 

pH3~6では、等電点沈殿による濁りが生ずる場合があります。

塩の存在(塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム等)は、安定性向上に働きます。

 

 

 

 

一方、ニワトリの卵殻膜を乾燥・粉砕してスプレードライで

得た粉末もEMパウダー(300)の商品名で販売されています。

 

 

これは、鶏卵の卵殻膜を微粉末化した商品です。

50 μm 以下の微細粒子に加工しています。

 

 

加水分解卵殻膜に比べて含硫アミノ酸(シスチン)を約4倍含みます。

アスコルビン酸との組み合わせ (摂取量 EM パウダー(300)2.5 g/ 日、

アスコルビン酸300 mg/ 日)による美白効果がヒト経口摂取で確認されています。

 

 


記事

前田 憲寿 先生

医学博士

東京工科大学 応用生物学部 応用生物学科

一般社団法人日本スキンケア協会 顧問

特許庁 機能性皮膚化粧料調査委員会 委員長

九州大学大学院薬学研究科、東北大学大学院医学研究科を経て、資生堂ライフサイエンス研究センター皮膚科学研究所にて主任研究員を務める。2007年に東京工科大学バイオニクス学部教授、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。2008年より、同大学応用生物学部、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。専門分野は、香粧品科学、皮膚科学、分子細胞生物学、生化学、薬理学など。テレビなどのメディア出演も多数。

 

 

 

 

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