2020年5月11日2023年12月6日大学教授に学ぶ正しい化粧品の知識

柔軟でみずみずしい肌にする「加水分解卵殻膜」

今回は、美容成分・柔軟でみずみずしい肌にする「加水分解卵殻膜」についてお伝えしていきます。

 

卵殻膜は、卵のなかで育つヒナを優しく保護し、ヒヨコに成長するまで、外界(微生物など)から守る皮膚のような役割をしています。

 

卵殻膜は厚さ70 μm の薄膜で、主に外膜と内膜から構成されています。

 

古くから、傷の治療に効果が認められており、漢方薬の集大成である「本草網目」にも記載されています。

 

 

 

ニワトリGallus gallus domesticus Brisson (Phasianidae) の卵殻膜をアルカリ加水分解して中和、脱塩、精製し、スプレードライして可溶性にした加水分解卵殻膜は、ハリのある肌を保つため必要なヒアルロン酸やコラーゲンを産生する線維芽細胞を増やし、赤ちゃんのような肌の柔らかさを生み出すIII型コラーゲンの

産生を促進して、柔軟でみずみずしい肌にすると期待されることが報告されています。

 

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加水分解卵殻膜は可溶性卵殻膜ケラチンを含む粉末で、EMプロテイン-Pの商品名で販売されています。

 

 

卵殻膜の主成分はタンパク質(ケラチンの一種)で、これにへキソースを主にした糖が結合した糖タンパク質として存在し、他に脂質(コレステロール、スフィンゴミエリン等)、カルシウム等が含有されています。

 

 

EM プロテインのほとんどがアミノ酸やペプチドで、その他は糖、脂質、カルシウム等です。

 

EM プロテイン-P は水に30%まで溶解します。

 

 

50%エタノール、90%プロピレングリコール、65%1,3- ブチレングリコールに対して5%濃度で安定しています。

 

EM プロテイン-Pは、中性~アルカリ性で安定です。

 

pH3~6では、等電点沈殿による濁りが生ずる場合があります。

 

塩の存在(塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム等)は、安定性向上に働きます。

 

 

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一方、ニワトリの卵殻膜を乾燥・粉砕してスプレードライで得た粉末もEMパウダー(300)の商品名で販売されています。

 

 

これは、鶏卵の卵殻膜を微粉末化した商品です。

 

50 μm 以下の微細粒子に加工しています。

 

加水分解卵殻膜に比べて含硫アミノ酸(シスチン)を約4倍含みます。

 

アスコルビン酸との組み合わせ (摂取量 EM パウダー(300)2.5 g/ 日、アスコルビン酸300 mg/ 日)による美白効果がヒト経口摂取で確認されています。

 

この記事を書いた人

前田 憲寿 先生

前田 憲寿 先生

*医学博士

*東京工科大学 応用生物学部 教授

*日本スキンケア協会 顧問

*特許庁 機能性皮膚化粧料調査委員会 委員長

九州大学大学院薬学研究科、東北大学大学院医学研究科を経て、資生堂ライフサイエンス研究センター皮膚科学研究所にて主任研究員を務める。2007年に東京工科大学バイオニクス学部教授、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。2008年より、同大学応用生物学部、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。専門分野は、香粧品科学、皮膚科学、分子細胞生物学、生化学、薬理学など。テレビなどのメディア出演も多数。

 

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