注目の美容成分 キネシン抑制による色素沈着を抑制する「ワイルドタイムエキス」

シソ科植物ワイルドタイム（学名：Thymus serpyllum 和名：ヨウシュイブキジャコウソウ）は、ヨーロッパ、北アフリカおよび北アメリカ北東部を原産とし、山地に野生しており、ときに海岸の日のよくあたる岩地に生え、茎は地上をはい、枝は斜上し、3-15cmくらいになります。

 

葉をもむと特有な香りがします。

 

花は6-7月ごろで、枝先に層をなして密につきます。

 

化粧品用途のワイルドタイムハ全草を乾燥し、水、エタノール、BG、またはこれらの混液で抽出して得られます。

 

 

 

 

ワイルレドタイムは精油約0.3- 2.5%を含み、その成分はモノテルペンのThymol、Carvacrol、p-Cymene、フラボンのアピゲニン、ルテオリンのほか、ウルソール酸等が含まれています。

 

 

Thymolは防腐・抗菌作用を有することが知られています。

 

メラノサイト内でメラニンを内包したメラノソームを周辺の表皮細胞に輸送するために、デンドライトに沿ってデンドライトの中心部から先端部へ運搬する性質をもつモータータンパク質にキネシンがあります。

 

キネシンの働きを抑制することによってメラノソームの先端部への輸送を阻害すると考えられています。

 

2012年に一丸ファルコスによって報告されたワイルドタイムエキスのキネシンおよびヒト皮膚色素沈着に対する試験によると、ヒト表皮由来色素細胞を培養したのち各植物エキスを0.4%濃度で添加し、細胞を回収した後に抗キネシン抗体を添加してキネシン発現量を算出したところ、ワイルドタイムエキスは、非常に強いキネシン抑制作用を示したと報告されています。

 

次に、40人の女性被検者（30-60歳）のうち20人に5%ワイルドタイムエキス配合乳液を、残りの20人に未配合乳液を1日2回（朝晩）洗顔後の顔面に3ヶ月にわたって塗布してもらったところ、5%ワイルドタイムエキス配合乳液の塗布は、未配合乳液と比較して皮膚色素沈着に対する改善効果を見られたと報告されています。

 

 

スキンケア化粧品、シート&マスク、シャンプー、コンディショナー、洗顔料、洗顔石鹸、ボディソープ、メイクアップ化粧品、化粧下地などに使用されています。

 

 

 

 

この記事を書いた人

前田 憲寿　先生

＊医学博士

＊東京工科大学 応用生物学部 教授

＊日本スキンケア協会 顧問

＊特許庁 機能性皮膚化粧料調査委員会 委員長

九州大学大学院薬学研究科、東北大学大学院医学研究科を経て、資生堂ライフサイエンス研究センター皮膚科学研究所にて主任研究員を務める。2007年に東京工科大学バイオニクス学部教授、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。2008年より、同大学応用生物学部、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。専門分野は、香粧品科学、皮膚科学、分子細胞生物学、生化学、薬理学など。テレビなどのメディア出演も多数。

 

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