2025年11月5日2025年11月5日お肌のセルフエステ,お肌のトラブルケア,カウンセリングテクニック

肌カウンセリングのやり方完全ガイド:進め方と成功のコツ

 

「ほうれい線を消したい」「毛穴を目立たなくしたい」。

 

悩みは似ていても、なりたいイメージは人それぞれ。

 

肌カウンセリングは、専門家と一緒にあなたの理想を言葉にして、今の肌との距離を安全に、ムリなく、計画的に縮めていくためのプロセスです。

 

この記事では、相談できる場所の特徴、上手な相談のしかた、準備しておくと役立つメモ、オンラインや電話の活用法をわかりやすく紹介。

 

読後には、次の一歩(予約・持ち物・質問リスト)がはっきり見えているはずです。

 

目次

肌カウンセリングとは?目的と種類

カウンセリングの意義と重要性

肌カウンセリングとは、単に化粧品や治療法を選ぶための打ち合わせではなく、クライアント(相談者)に対話を通じて寄り添い、クライアント自身が答えを見つけ、よりよく生きていくための力を引き出すことを目的とした「相談」や「助言」のプロセスです。

 

特に美容医療の分野において、カウンセリングは治療の方向性を決めるうえで非常に重要です。

 

ここで有効なのがSMART(Specific/Measurable/Achievable/Relevant/Time-bound)。

 

SMARTは「過大期待・説明不足・ミスマッチ」を防ぎ、医師やアドバイザーとの信頼形成と共有意思決定(SDM)を支える実務の土台になります。

 

S|Specific(具体)

主訴・部位・“見た目のどの要素”をどう変えたいかを明確化。

例:ほうれい線を「深さ」ではなく“写真でできる口元の陰影”として規定。

 

M|Measurable(計測)

同条件写真・満足度VAS(0–10)・角層水分・色素指標など評価軸を決める。

例:陰影の見え方30%軽減/満足度7→9を目標。

 

A|Achievable(実現可能)

予算・来院頻度・ホームケア時間・禁忌を踏まえ現実性を検証。

例:月3万円・2回/月・ホームケア15分/日で達成可否を診る。

 

R|Relevant(妥当性)

本人の価値観・職業・イベント時期と目的の一致を確認。

例:「自然に若々しく」「疲れて見えない」等のキーワードで質的ゴールを共有。

 

T|Time-bound(期限)

評価タイミングと見直し周期を設定。

例:3か月後に最終評価/4週ごとにレビューしプランを微調整。

 

SMARTは「量的ゴール(M)」「質的ゴール(Rに紐づく“理想の見え方”)」を両輪にします。

 

この合意があるほど、インフォームド・コンセント(効果・ダウンタイム・リスク・代替案・費用内訳)も具体化し、不要・過量な介入を避けられます。

 

一方、日常のスキンケアにおけるカウンセリングでは、肌のコンディションが年齢や季節、環境の変化によって常に変わるため、「今の自分の肌を知る」ことが素肌美の基本となります。

 

プロのカウンセリングは、この「今の肌を知る」ための手助けとなります。

 

 

肌カウンセリングが受けられる主な場所

肌の相談ができる場所は多岐にわたり、目的や予算に応じて選ぶことができます。

 

場所 カウンセリング内容
美容医療クリニックや美容皮膚科 医師が診察を行い、診断に基づいた専門的な治療計画を説明
エステティックサロン エステティシャンがお客様の肌状態を見極め、
施術や専売品を含む製品の提案
化粧品カウンター
(百貨店や商業施設など)
各ブランドのビューティーアドバイザーが、専用機器などを用いて肌状態を把握し、適したスキンケア方法やアイテムを提案
ドラッグストアの化粧品コーナー 複数メーカーのアイテムを試せる場所

 

手軽に自分の肌タイプを知りたい場合は、WEBでのお肌診断も利用可能です。

 

例えば、綾花のWEB診断では、12の質問に答えるだけで、自分の肌タイプやスキンケアのポイントを知ることができます。

 

 

 

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【実践】カウンセリングを成功させるための事前準備

 

プロによるカウンセリングをより有意義なものにするためには、相談者側にも十分な準備が必要です。

 

お客様/患者側が準備しておくべきこと

カウンセリングの時間を最大限に活用するために、患者側が準備すべき主要な項目は以下の通りです。

 

なりたいイメージを具体化しておく

美容医療や本格的なスキンケアにおいて、自分の「なりたいイメージ」を具体化しておくことが非常に重要です。

 

言葉だけでは伝わりにくいイメージのズレを防ぐため、憧れの芸能人の写真や、ご自身の若い頃の写真など、「こんな風になりたい」という具体的な例が伝わるものを用意しておくと、医師やアドバイザーとイメージを共有しやすくなります。

 

 

 過去の治療履歴をまとめておく

特に美容医療の場合、いつ、どのクリニックで、何の治療(施術名、薬剤名、注入量、レーザー治療など)を受けたかを漏れなく記録しておくことが求められます。

 

これらの情報は、医師が現在の肌状態や体質を正確に把握し、適切な治療計画を立てるうえで欠かせません。

 

とっさに思い出せないことがあるため、事前に整理しておくことが推奨されます。

 

そのほか、アレルギーの有無、美容医療以外の病歴や手術歴もまとめておきましょう。

 

 

肌トラブルや使用製品の情報を整理する

現在使用中のスキンケア製品のリストや、過去に製品を試した際のトラブル(赤みや痒み、刺激感など)の情報、パッチテストの結果もメモしておくと安心です。

 

 

疑問や不安な点をメモしておく

カウンセリング中は緊張して聞き忘れをしてしまう可能性があるため、聞きたいことや不安に思っていることを事前にリストアップ(メモ)しておくことで、確認漏れを防ぎ、安心感につながります。

 

 

相談時のコミュニケーションのポイント

カウンセリングをスムーズに進めるためには、プロに対し明確な意思表示を行うことが大切です。

 

まず、事前に肌質のセルフチェックを行い、自分の肌タイプ(普通肌、乾燥肌、脂性肌、混合肌)や悩みを明確にしておくことで、相談がスムーズに進みやすくなります。

 

そして、プロであるエステティシャンやビューティーアドバイザーは、お客様の肌状態を見極め、必要なアイテムを提案しますが、もし提案されたアイテムの購入が難しい場合には、その旨を正直にはっきりと意思表示することが重要です。

 

自身の意思を伝えることは勇気がいるかもしれませんが、無理なく納得できる製品を使い続けたり、アドバイザーが真のニーズを掴んだりするために、はっきりした意思表示は大切です。

 

また、治療に対する具体的な希望、予算、どの程度の効果を期待しているのかを明確にしておくことも、最適な治療法を見つけるための重要なステップです。

 

 

 

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オンライン/電話カウンセリングの使い分け

 

来店前の不安解消と情報整理には、オンライン(ビデオ通話)と電話が有効です。

 

ただしできること/できないことが異なるため、目的に応じて使い分けることで、来店時の満足度と意思決定の速さが向上します。

 

オンライン(ビデオ通話)カウンセリング:何ができる?何ができない?

★できること

  • 主訴・既往歴・アレルギー・服薬・過去施術の事前ヒアリング
  • 参考写真やキーワードを用いた“理想の状態”共有とSMART目標合意
  • 照明・解像度が整えば、見え方の一次評価(赤み・色むら・たるみ傾向)
  • 施術候補の概要、概算費用、来店当日の流れ・持ち物の確認
  • フォトカルテの撮影条件指示(角度・距離・光源)

★できないこと

  • 医療上の診断行為、触診・機器測定(角層水分・皮脂・TEWL等)
  • 施術の実施、侵襲を伴う可否判断の最終決定

 

電話カウンセリング:何ができる?何ができない?

★できること

  • 主訴の整理、来店目的・予算・スケジュールの一次調整
  • 禁忌の予備チェック(妊娠・授乳・皮膚科通院中 等)
  • 参考写真・記録シート準備の案内

★できないこと

  • 視覚情報に基づく外観評価(色味・左右差・質感)
  • 写真・画面共有を前提とした具体的な目標擦り合わせ

 

 

来院推奨(オンライン・電話では不十分)となるケース

  • 急性の発疹・びらん・感染疑い、強い痛みや熱感
  • 広範な色素異常、急なほくろ変化など医療的評価が必須
  • 強い過大期待や即日過量要求、心理的苦痛が強い場合
  • 妊娠・授乳中、重篤な基礎疾患など禁忌確認が必要な場合

 

 

 

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肌カウンセリングの具体的な「やり方」と流れ

 

カウンセリングのプロセスは、場所(店頭か医療機関か)によって大きく異なりますが、いずれも顧客理解と情報共有が核となります。

 

店頭・サロンでのカウンセリングの流れ

化粧品カウンターやサロンでのカウンセリングは、通常、以下のような流れで進行します。

 

①ヒアリング(傾聴)

スタッフが肌の悩みや日々のお手入れについてお話を伺い、肌の状態を細かくチェックします。

アクセーヌショップでは、手で触れてきめ細かくチェックする行程も含まれます。

 

 

②肌測定

店頭では美容機器を使用した「肌測定」が行われます。

 

 

③アドバイス

測定結果に基づき、スタッフが皮膚生理学に基づいてアドバイスを行い、肌状態に合ったスキンケア方法やアイテムを紹介します。

 

 

④お試し

希望者には、テスターなどでメイクアップ製品の試用や、肌に合ったサンプル製品を提供することがあります。

 

肌測定は、季節や環境の影響で肌状態が変化するため、2か月に1回くらいのペースで受けるのが理想的とされています。

 

 

美容医療クリニックでのカウンセリングの流れ

美容クリニックでの施術決定までのプロセスは、医師による診察と診断が中心となります。

 

①予約・来院

電話、WEB、メールなどで予約し、来院後、問診票を記入します。

 

 

②ドクターカウンセリング

ドクターとのカウンセリングは、多くのクリニックで無料で行われています。

ここでは、医師が患者さんの悩みを詳しく聞き、なりたいイメージを明確化し、最適な治療計画を提案します。

医師が診断に関わる話をするには、経験上、どんなに短くても15分は必要とされています。

 

 

③コンシェルジュとの相談

医師との対話後、コンシェルジュが施術の具体的な金額、支払い方法、施術後の過ごし方など、気になる点について詳しく相談に乗ります。

医師との対話中は治療への期待が高まりやすく、予算に合わない提案を断るのが難しい場合があるため、コンシェルジュが費用について改めて説明することで、患者さんが冷静に検討するのを助けます。

 

 

④ 施術の決定

治療をお受けになられると決めた場合は、治療日の予約手配に進みます。

当日に施術を行うことも可能ですが、検討したい場合はそのまま帰宅し、見積書の発行を受けることも問題ありません。

 

 

⑤経過チェック

治療前後の変化を時系列で確認できるフォトカルテ機能を活用し、治療によるお肌の変化を客観的に評価し、納得できる治療とモチベーションの維持につなげることが可能です。

 

 

質の高いカウンセリング技術

プロ側が質の高いカウンセリングを実施するために意識すべき点は、対話の技術情報伝達の正確性です。

 

傾聴(積極的傾聴)

お客様の悩みや希望をじっくりと聞くために、心理学のカウンセリング技術である傾聴(積極的傾聴)の意識を持つことが有効です。

 

傾聴は「共感的理解」「無条件の肯定的関心」「自己一致」の3要素からなり、お客様が安心して話せる信頼関係を築く基礎となります。

 

 

正確かつ分かりやすい情報伝達

医師は、医学的に正しい情報を、患者さんが理解しやすいように専門用語をなるべく避けて丁寧に説明します。

 

イラストやスライドなどを活用し、治療の仕組み、期待される効果、そして考えられるリスクなどを正確に伝えることが求められます。

 

 

時間の確保

十分な情報提供と相互理解のためには、どんなに短くても30分は必要であると意識して時間をかけることが、質の高いカウンセリングには不可欠です。

 

 

 

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信頼できるクリニック・アドバイザー選びのチェックポイント

 

美容医療やスキンケアの相談先を選ぶ際、満足のいく結果を得るためには、提供者側が信頼できるかどうかの見極めが非常に重要です。

 

医師やスタッフの対応に関する見極め

医師との対話時間

医師と直接話す時間は十分にあるかを確認しましょう。

 

法律上、最終的には医師が診察し、診断に基づいた治療計画を説明する必要がありますが、医師の診察が不十分なまま治療に進むケースもみられるため、医師が診断に関わる話をするには最低15分は必要と認識しておくことが大切です。

 

 

説明の質と態度

疑問や不安が解消されるまで質問できる環境か、医師がわかりやすい言葉で説明し、質問に真摯に答えてくれるかを確認します。

 

面倒そうな態度や適当な対応が見られる場合は、他のクリニックを検討することも考慮しましょう。

 

 

提案の客観性

信頼できる医師は、患者さんの希望する治療法が必ずしも最適とは限らないと考え、診察・診断に基づいた本当に必要な治療法を提案します。

 

患者の希望通りの治療だけを勧める医師には注意が必要です。

 

 

検討する時間の有無

カウンセリングで説明を聞いた後、すぐに決断を迫る即決を促したり、過剰な量を勧めたりするクリニックは、施設の売り上げを優先している可能性があるため注意が必要です。

 

自身の身体に関わることなので、焦らずに納得できるまで検討する時間をくれるクリニックを選びましょう。

 

 

費用・リスクに関する確認事項

美容医療を受ける前に、以下の5つの質問を明確にしておくことが推奨されます。

 

施術の具体的な効果と期待できる範囲

施術の効果は「どのくらい続くのか」「どのような変化があるのか」といった具体的な点を確認しましょう。

 

複数回の施術が必要な場合は、継続期間や追加費用についても確認が必要です。

 

 

ダウンタイムやリスク、副作用

施術後の赤み、腫れ、内出血といったダウンタイムや、施術後のケア、制限事項、そしてリスクや副作用の有無について率直に尋ね、いつ頃回復するかの目安を把握することが重要です。

 

 

自分に最適な施術方法

肌質、体質、年齢、過去の医療歴などを考慮し、自分にとって最も効果的かつ安全な治療プランを提案してもらいましょう。

 

 

費用の詳細と追加料金の可能性

施術料金だけでなく、初診料、麻酔代、アフターケア代、薬剤代など、トータルの費用感と追加料金の可能性を事前に確認することで、後で予想外の出費に驚くことを防げます。

 

 

施術後のフォロー体制

治療後の経過観察、万が一副作用や違和感が出た時にいつでも相談できる窓口や、メンテナンスの必要性など、クリニックのアフターサポート体制を必ず確認しましょう。

 

 

カウンセリングに関するその他の疑問

複数のクリニックでのカウンセリング

医師によって得意な分野や治療方針、考え方、人柄は異なるため、3~5件程度のクリニックでカウンセリングを受けることが推奨されます。

 

複数の医師の意見を聞くことで、治療方法の違いや説明のわかりやすさを比較検討する目が養われます。

 

 

カウンセリング後の決断

説明に納得し、疑問や不安が完全に解消されたのであればすぐに治療を受けても問題ありませんが、少しでも迷いが残っている場合は、「急がない」「焦らない」を原則とし、決して急いで決断すべきではありません。

 

 

料金形態

カウンセリングが有料か無料かはクリニックの方針によって異なり、一概にどちらが良いとは言えません。

 

予約の無断キャンセルを防ぐために有料にしている場合もあれば、患者に気軽に訪れてほしいからと無料にしている場合もあります。

 

まずは実際に内容で判断するのが良いでしょう。

 

 

 

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まとめ

肌カウンセリングは、施術名を選ぶ場ではなく、対話を通じて「理想の状態」を言語化し、現状とのギャップを安全かつ計画的に埋めていくための設計プロセスです。

 

SMARTで量的な目標を定め、写真やキーワードで理想像を可視化することで、期間・予算・生活制約との整合がとれ、期待値のすれ違いを防げます。

 

来院前に過去施術や服薬、使用中コスメ、理想写真と質問事項を準備し、オンライン/電話を上手に使い分ければ、当日の意思決定はより迅速かつ納得度の高いものになります。

 

医療・サロン・カウンターそれぞれの守備範囲を理解し、効果の範囲・持続・ダウンタイム・費用内訳・アフター体制を確認しながら、急がず焦らず比較検討を——あなたにとって無理のない最適解が、その先にあります。

 

 

 

この記事を書いた人

高本聖子先生‗日本スキンケア協会認定講師 width=

高本 聖子 先生

*日本スキンケア協会 認定講師
*プライベートサロンBPPT桜梅桃季 オーナー
*ビューティースクールBPPT桜梅桃季アカデミー 学院長
*リアルビューティーアカデミー 学院長
*JSSE 認定エステティシャン
*日本エステティック協会 認定エステティシャン

大手エステサロン2社に勤務し、店長マネージャー、トレーナーとして社員教育や顧客向けのイベント講師などを務める。 メンズエステ指導、トレーナー育成やシンガポールの大手チェーン店への技術指導研修などの経験も持つ。
現在は35年間の美容経験と教育指導30年キャリアを活かし、自サロンの運営、サロンのコンサルティング、独立開業の支援などを中心に現場に沿った指導を行う。日本のみならず中国のエステサロンでも教育を行う。これまでに教育した人数は5,000名以上。

 

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