2025年12月3日2025年12月3日お肌のトラブルケア,スキンケアの基礎知識,美容コラム
肌の乾燥対策まとめ|タイプ別・症状別・生活習慣から見直す正しい方法

「毎日きちんと保湿しているのに、どうして乾燥が続くんだろう?」
そう悩む方は少なくありません。
乾燥肌は単なる“水分不足”や“季節の問題”ではなく、肌質・生活習慣・体内環境・無意識のクセなど、複数の要因が複雑に関わり合うトラブルです。
そのため、一般的な乾燥対策だけでは改善しないケースも多く、「何をすればいいのか分からない」という声が後を絶ちません。
本コラムでは、乾燥を「肌タイプ」「症状」「生活動線」「インナーケア」「NG習慣」といった多角的な視点から徹底解説。
あなたの乾燥がどこから来ているのかを深く理解し、最短で改善するための“実践的な方法”をお伝えします。
4タイプ別「あなたの乾燥肌はどれ?」チェックリスト

乾燥肌と一言でいっても、その原因や症状は人によって大きく異なります。
実は、同じ“乾燥”でもアプローチ方法がまったく違う場合があり、一般的な乾燥対策が合わず、なかなか改善しないという声も少なくありません。
ここでは、皮膚の構造・バリア機能の仕組みを踏まえながら、乾燥肌を4つのタイプに分類し、それぞれの特徴と見分け方を整理していきます。
まずは自分の乾燥タイプを知ることが、最短で肌質を改善する第一歩です。
タイプA:水分不足型―「肌がつっぱる」「粉ふく」が主なサイン
このタイプは、角質層の水分が極端に不足し、キメが乱れやすい状態です。
洗顔後に肌がつっぱる、メイクが乗らない、白い粉が出るといった症状が代表的。
触るとザラつきがあり、ファンデーションが“浮く”感覚がある人は、このタイプの可能性が高いでしょう。
原因:空調環境・季節的要因・角質層の水分保持力低下(NMF不足)などが挙げられます。
スキンケアでは「水分を抱え込む力を高めること」が最重要ポイントとなります。
タイプB:油分不足型―「乾燥しているのにカサッと硬い」
水分は入っても油分が足りず、うるおいを閉じ込める皮脂膜が薄くなっているタイプです。
触ると硬い、肌表面にツヤがない、クリームを塗ると落ち着く、といった特徴があります。
加齢やホルモンバランスの変化によって皮脂分泌が低下しているケースが多く、冬場に悪化しやすいのもこのタイプ。
水分を補給してもすぐに蒸発してしまうため、「油分(乳液・クリーム)」での保護が欠かせません。
タイプC:インナードライ型―「表面はテカるのに中はカサカサ」
最近とても増えているのが、この“隠れ乾燥”タイプです。
一見脂性肌のように見えますが、実は内側の水分が不足している状態。
Tゾーンはテカるのに頬は乾く、メイクが崩れやすい、季節によって肌質が大きく変わるという人は、インナードライの可能性大。
肌は乾燥を補おうとして皮脂を多く分泌するため、油っぽさと乾燥が同時に起こります。
ケアポイントは、「水分補給を最優先し、油分は必要量だけ」。
弱いバリア機能を整えるケアが重要です。
タイプD:敏感・バリア低下型―「赤み・かゆみ・ヒリつき」が現れる
乾燥とともに赤み・かゆみ・ヒリヒリ感が出やすいタイプです。
角質層の細胞間脂質が減り、外部刺激が侵入しやすくなっているため、化粧品がしみやすいのも特徴。
季節の変わり目や花粉時期、体調不良のときに悪化しやすく、摩擦・紫外線・温度差など、わずかな刺激でも反応してしまいます。
最優先すべきは「炎症を抑え、守るケア」。
攻めのケアや角質ケアはお休みし、まずはバリアを立て直すことが必要です。
4タイプを見極めると、乾燥ケアの精度が一気に上がる
乾燥肌は“全員が同じケアをすべき”ではありません。
水分不足型にオイルリッチなケアは重く感じますし、油分不足型に化粧水だけのケアは逆効果。
インナードライと敏感では、同じ「乾燥」という言葉でも状態が全く異なるため、必要なアプローチも大きく変わります。
まずは自分の乾燥タイプを正しく知ることで、改善スピードは驚くほど変わります。
次章では、それぞれのタイプごとに“本当に必要なスキンケア”を専門家の視点から解説していきます。
タイプ別に“本当に必要なケア”を専門家が解説

乾燥肌は、タイプによって必要なケアが大きく異なります。
ここでは、第1章で紹介した4つの乾燥タイプに合わせて「最短で改善するスキンケア方法」を専門家の視点から解説します。
同じ乾燥でも、やり方を少し変えるだけで肌の回復スピードは大きく変わります。
タイプA:水分不足型―「角質層の保水力を底上げする」
水分不足型は、まず“水を抱え込む力”を強化することが最優先課題です。
角質層には天然保湿因子(NMF)という水分保持成分が存在しますが、このタイプはNMFが不足し、角質が乾燥してめくれ上がりやすい状態です。
ケアのポイントは次の通りです。
- 化粧水は「押し込むように」複数回重ねる
一度で大量に塗るより、数回に分けて「角質へ送り込む」意識で。
- アミノ酸・ヒアルロン酸・NMF系成分を中心に選ぶ
肌にとってなじみが良く、水分保持力が上がりやすい成分です。
- 乳液は“軽め”でOK。重ねすぎて閉じ込めない
油分の量より、水分補給の質が重要なタイプです。
保湿のキーワードは「角質層をふっくらさせる」。
これが叶えば、つっぱり感や粉ふきは大きく改善します。
タイプB:油分不足型―「皮脂膜の代わりを作るケア」
油分不足型は、皮脂分泌が低下しているため、肌表面の“うるおいのフタ”が弱くなっています。
水分を補給しても蒸発しやすく、乾燥が長引きやすいタイプです。
- 乳液+クリームの“W仕上げ”が効果的
乳液だけでは足りず、夜だけでもクリームを重ねると乾燥が落ち着きます。
- スクワラン・シアバター・ワックスエステルなど皮脂類似成分を選ぶ
肌の油分に近い構造のものを選ぶことで、バリア修復が早まります。
- 皮脂を奪わない洗顔へ変更する
特に冬は乾燥が加速するため、弱酸性または保湿成分入りの洗顔が推奨です。
油分不足型は、ある程度しっかりした油分が必要なタイプ。
重めのクリームを避けてきた人は、見直してみると改善が早まります。
タイプC:インナードライ型―「水分と油分の“バランス再構築”」
インナードライは、最もケアが難しく、間違えやすいタイプです。
表面はテカるのに内側は乾燥しているため、「脂性と乾燥」が共存します。
- とにかく最優先は“水分補給”
化粧水+美容液で角質層に水分を十分届けること。
これができないまま乳液を増やすと、皮脂過剰が続きます。
- 油分は“必要量だけ”。軽い乳液で十分
重いクリームは負担になり、テカりを加速させるので避けるべきです。
- Tゾーンと頬でケアを分ける“ゾーニングケア”が有効
Tゾーン=軽め、Uゾーン=しっかり、と塗り分けることでバランスが整います。
インナードライは“水分の入れ方”がすべて。
油分の量を減らしても乾燥が続く場合は、このタイプであることが多いため、ケアの組み直しが効果的です。
タイプD:敏感・バリア低下型―「まずは炎症を止めて、守るケアへ」
敏感型は、角質層のバリア機能が低下しており、外部刺激が侵入しやすい状態。
乾燥はもちろん、赤みやヒリつきといった炎症症状が起こりやすくなっています。
- 最優先は“刺激を避けること”。攻めのケアはNG
ビタミンC・ピーリング・レチノールなどの刺激は、一時お休みしてください。
- 抗炎症成分で肌を落ち着かせる
グリチルリチン酸、アラントイン、ナイアシンアミド(低濃度)など。
- 保湿剤は“セラミド”が第一選択
細胞間脂質を補うことで、バリア機能が最も回復しやすい成分です。
敏感・バリア低下型は、治るスピードがゆっくりですが、正しいケアを継続すれば必ず回復します。
まずは“守りのスキンケア”を徹底しましょう。
タイプごとのケアを変えることで、乾燥は劇的に改善する
同じ乾燥肌でも、必要なケアも使うべき化粧品も全く異なります。
タイプに合ったケアを行うだけで、改善までの時間は驚くほど短縮されます。
専門家が教える「角質層が回復する48時間ルール」

肌の乾燥が改善するまでには“時間”が必要です。
どれだけ優しいスキンケアアイテムを使っても、一晩で劇的に変わるわけではありません。
それは、肌の最前線で外部刺激から守っている角質層の回復には、一定のサイクルが存在するためです。
乾燥ケアを正しく行うためには、この“肌が回復していく時間軸”を理解することがとても重要です。
角質層がダメージから立ち直るには「約48時間」必要
肌のバリア機能を担う角質層は、約0.02mmという薄さにもかかわらず、水分保持と外的刺激の防御という重要な役割を持っています。
しかし、摩擦、紫外線、洗いすぎ、乾燥、温度差などの刺激を受けると、この角質層はすぐに乱れます。
乱れた角質層は、
セラミドが流出
NMF(天然保湿因子)が減少
角質細胞間のすき間が広がる
水分蒸発が急増
という状態になり、乾燥や赤みが悪化します。
このダメージを修復し、角質層が“落ち着いた状態”に戻るまでに必要な時間が 約48時間(2日間) とされています。
つまり、正しいケアを継続しても、回復を実感し始めるには最低でも48時間ほどの猶予が必要なのです。
なぜ48時間なのか?―角質細胞の“再配列”にかかる時間
乾燥や摩擦で乱れた角質細胞は、すぐには元の並びに戻りません。
角質細胞(コルネオサイト)が修復反応を起こし、細胞間を埋めるセラミドなどの脂質が補整されるまでには一定の時間がかかります。
そのプロセスはおおよそ次の通りです:
-
- 0〜12時間:急激に水分低下し、敏感状態になる
- 12〜24時間:細胞間脂質が再分布を開始
- 24〜48時間:角質細胞の並びが徐々に整う
- 48時間以降:バリアが安定し、水分保持力が戻る
つまり、乾燥で荒れた肌は、“回復モード”に入るまで丸2日かかるため、「昨日保湿したのに今日も乾燥している…」という悩みは決して異常ではありません。
むしろ、角質層の生理的プロセスとして自然な反応なのです。
48時間ルールを知ると、“焦り”が消え、ケアの継続が楽になる
乾燥が続くと「スキンケアが合わないのでは?」と不安になることがありますが、実は肌の回復速度が遅いのではなく、“角質層が回復するのに必要な生理的時間”をまだ経過していないだけの場合も多いのです。
正しいケアを続けているのに変化が見えないときは、まず48時間続けてみることが大切です。
48時間で肌が変わるケア方法 ― 回復を早める3つのポイント
① 摩擦ゼロ生活を徹底する
角質層は摩擦に非常に弱く、わずかな刺激でも修復速度が遅れます。
タオル・洗顔・スキンケアは“触れているか触れていないか”レベルに。
② 水分 → 油分の順番を守る
角質層が整うには、まず水分が角質内部まで届くことが必須。
そのうえで乳液・クリームが“フタ”となって修復を加速させます。
③ UV・乾燥・温度差から徹底的に守る
紫外線や気温差は、角質修復を妨げる要因。
保湿+守るケアの両方を行うことで、回復スピードは確実に上がります。
48時間ごとに肌を観察する習慣が、最短の改善をつくる
乾燥が悪化したときほど、「今日良い」「今日悪い」という日単位で肌を見がちですが、角質層は“48時間単位で変化する組織”です。
そのため、
48時間前より乾燥がマシか
赤みが減っているか
つっぱり感が弱まったか
といった“2日前との比較”が最も正確な指標になります。
48時間という角質層のリズムを理解すると、焦らず着実に乾燥を改善することができ、スキンケアの効果を最大限に生かすことができます。
症状別にみる「目的別ケア」— 小ジワ・くすみ・ごわつき・赤みを改善する

乾燥によって起こる肌トラブルは、実はタイプや状態によって求められるケアが大きく変わります。
同じ乾燥でも「小ジワを改善したい」「くすみが気になる」「ごわつきが取れない」「赤みが続く」など目的が異なれば、必要なアプローチも異なります。
この章では、読者が“何を改善したいのか”を軸に、症状別に最適なケアを分かりやすく解説します。
目的①:乾燥小ジワを改善したい ―「水分×油分×ターンオーバー」が3本柱
乾燥小ジワは、角質層の水分不足によってキメが乱れ、陰影が目立ってしまう状態です。
シワを薄くするためには、肌表面の柔らかさを取り戻すことが必須です。
- 水分補給を最優先(特にアミノ酸・ヒアルロン酸)
角質層がふっくらすることで、浅いシワはかなり目立たなくなります。
- 乳液→クリームでしっかりフタをする
特に目元・口元は油分が少ないため“油分補給”が鍵になります。
- 低刺激の角質ケアを週1回
酵素洗顔やAHAのごく低濃度処方などで、古い角質をやさしくオフすると保湿の入りが格段にアップします。
乾燥小ジワは改善しやすいトラブルのひとつ。
正しいケアを続ければ、数日〜1週間で変化が見え始めます。
目的②:くすみを明るくしたい ―「角質透明度と血行」がカギ
乾燥によるくすみは、主に以下の2つが原因です。
①角質が必要以上に厚くなって光の反射が弱まる
②血行が悪くなり、肌がどんより見える
このタイプのくすみには、次のケアが最適です。
- 角質をやさしくオフし、透明度を高める
酵素洗顔・低刺激ピーリングは、週1回の頻度がちょうど良い負荷です。
※敏感タイプは無理に行わず、保湿を優先。
- 保湿成分+血行促進成分を組み合わせる
ナイアシンアミド、ビタミンE誘導体などは血流をよくし、くすみの改善をサポートします。
- 首・肩の緊張をほぐす
意外ですが、肩こりによる血流低下が顔のくすみにつながるケースは非常に多いです。
“乾燥=水分不足”だけをケアしてもくすみは取れにくいため、光の反射を高める角質ケアと血行ケアを合わせることが効果的です。
目的③:ごわつきを改善したい ―「角質の柔軟性」を取り戻す
乾燥が長引くと角質が硬くなり、スキンケアをしても浸透しづらい“ごわつき”が発生します。
この状態では、保湿をしても肌に入らず効果が感じられにくくなります。
- 入浴後10分以内の保湿で角質を柔らかくする
湿度が高く角質が柔らかい入浴直後は、保湿がもっとも浸透しやすいタイミングです。
- セラミドを中心とした“深部保湿”を行う
細胞間脂質が不足していると、角質が硬くなりやすい傾向があります。
とくにヒト型セラミドが有効。
- 週1回の角質ケアで「浸透しにくさ」をリセット
硬くなった角質をリセットすることで、その後の保湿効果が数倍に高まります。
ごわつきは“保湿不足ではなく、角質の硬さが原因”のことが多いため、柔らかさの回復を中心にケアを組み立てることが重要です。
目的④:赤み・ヒリつきを鎮めたい ―「守るケア」を最優先に
赤み・ヒリつきが出ている乾燥状態は、角質層の防御力が大きく低下し、炎症が起きているサインです。
ここでは攻めのケアは禁物で、“刺激を避けること”が最重要になります。
- 低刺激ラインへ一時的に切り替える
アルコール・香料・ピーリング・ビタミンC濃度高めの化粧品はお休み。
- 抗炎症成分を投入する
グリチルリチン酸、アラントイン、ナイアシンアミド少量などが有効。
- セラミドで“肌の壁”を再構築
バリアが整わない限り、赤みは必ず再発するため、根本的な修復が必要です。
- 摩擦ゼロ生活を徹底する
タオル・コットン・マスク・衣類のこすれはすべて炎症の悪化要因になります。
赤みが出ているときは、まず“守るケア”。
赤みが落ち着いてから、シワ・くすみなど他の目的ケアを行いましょう。
目的別ケアを組み合わせることで乾燥は多角的に改善する
乾燥が引き起こす症状は、ひとつではありません。
小ジワ・くすみ・ごわつき・赤みなど、複数の悩みが同時に起こることも多いため、目的別ケアを“2〜3個組み合わせる”ことで、改善スピードは格段に上がります。
生活動線で考える乾燥対策 ― 1日の行動が肌を変える

乾燥肌は、季節だけではなく 1日の行動パターン(生活動線) によって大きく左右されます。
朝起きてから夜眠るまで、私たちの肌は環境や行動の影響を受け続けています。
ここでは、時間帯ごとに起こりやすい乾燥リスクと、それに対して“今日からできる対策”を生活の流れに沿って解説します。
【朝】起床直後の乾燥は「寝室環境」が原因
朝、肌がつっぱる・乾燥している場合、その原因はスキンケアではなく寝室の湿度にある場合が非常に多いです。
◆朝の乾燥の主な原因
- 冷暖房で湿度が 30%以下になっている
- 寝ている間に呼気で水分が奪われる
- 寝返りによる摩擦でバリアが低下
◇すぐできる対策
- 寝室の湿度を 40〜60% に保つ
- 加湿器は“喉方向”ではなく“部屋全体”に広がる位置へ
- 枕カバーを肌に優しい素材(シルク・コットン)に変更
水分補給は朝のスキンケアよりも、寝室環境の改善で決まる。
これは意外と見落とされがちな乾燥ポイントです。
【午前〜昼】オフィスや学校では「空調乾燥+姿勢」が大きな敵
日中は仕事や学業、家事などで活動する時間帯。
この時間帯の乾燥は、以下の2つが重なって発生します。
- エアコンの乾燥した風
特にオフィスは湿度が 30~40%まで下がることもあり、肌表面の水分がどんどん奪われていきます。
- 前傾姿勢による血行不良
肩・首の緊張は顔の血流を低下させ、くすみ・乾燥につながります。
◇日中にできる対策
- デスク周りにミニ加湿器 or 水を張ったコップを置く
- 1時間に1回、肩回しをして血流を促す
- メイクの上から使える保湿ミスト(アミノ酸・ヒアルロン酸入り)を活用
外的環境に左右される時間帯だからこそ、“守る保湿”が鍵になります。
【夕方】目元や口元だけ乾くのは「瞬き不足+疲労乾燥」
夕方になると、頬より先に“目元や口元”が乾くという声が多くあります。
◆以下の3つが重なっておこる
- パソコン・スマホの見すぎによる瞬きの減少
- 話す・笑うことで摩擦が起きる口元の乾燥
- 血流低下による回復力の低下
◇夕方の乾燥に効く対策
- 眼輪筋ストレッチで瞬きを改善
- デスクにハンドクリームではなく“目元用保湿バーム”を置く
- カフェインの取りすぎは血流を落とすため控えめに
「夕方の乾燥」こそ、生活動線を意識すると改善しやすいポイントです。
【夜:入浴後】もっとも乾燥が進む“脱水の瞬間”
肌がもっとも乾燥しやすいのは、実は入浴後の10〜15分です。
お風呂上がりは体温上昇と水分蒸発により、角質層の水分が急速に失われていきます。
◇入浴後の対策は“時間勝負”
- タオルでこすらず、水気をそっと押さえる
- 10分以内に化粧水 → 美容液 → 乳液・クリーム
- 乾燥がひどい日は“入浴前に軽く保湿”しておくと蒸発防止になる
入浴後はスキンケアのゴールデンタイム。
この時間帯の対応次第で、乾燥改善のスピードは大きく変わります。
【就寝前】リラックス状態を作ることで乾燥が改善
睡眠前は、最も「肌の修復力」が高まる準備時間。
ストレス状態で寝ると血流が悪くなり、乾燥が進行しやすくなります。
◇就寝前の習慣で乾燥は変わる
- スマホのブルーライトをカット
- 深呼吸で副交感神経を優位に
- ベッドルームを加湿&適温(20〜22℃)に調整
睡眠中は肌が“修復モード”に入るため、ここを整えると乾燥改善の土台が強くなります。
生活動線を整えることは「スキンケアの効果を最大化する」鍵
乾燥はスキンケアだけでなく、1日の行動リズムによっても大きく左右されます。
生活動線を整えるだけで、同じスキンケアでも効果の出方は大きく変わります。
今日から少しずつ、生活の流れの中に“乾燥しない選択”を組み込んでみましょう。
インナーケアで“乾燥しない体”をつくる

乾燥肌の改善には、外側のスキンケアと同じくらい“内側のケア”が重要です。
なぜなら、角質層が生まれる前の「細胞の材料」も「血流による栄養運搬」も、「ホルモンバランス」も、すべて体の内部で作られているからです。
この章では、乾燥しやすい体質を根本から整えるために、今日から取り入れられるインナーケアのポイントを解説します。
水分は「まとめ飲み」ではなく“こまめに”補給する
肌の水分は、飲んだ水がそのまま届くわけではなく、一定の時間をかけて全身に循環します。
そのため“まとめて大量に飲む”よりも、1〜2時間おきにコップ1杯のほうが乾燥改善に有効です。
◆水分が不足すると起こること
- 血流が滞り、栄養が角質に届きにくい
- 角質層の水分保持量が低下
- くすみが悪化しやすい
コーヒー・緑茶ばかりの人は利尿作用で逆に乾燥しやすくなるため、水またはノンカフェインの飲み物を意識的に。
“肌の材料”となる栄養素をしっかり補う
乾燥しやすい人の食生活には、次の栄養不足が目立ちます。
- タンパク質(肌の基礎素材)
角質細胞・天然保湿因子(NMF)・酵素などの材料になる。
不足するとターンオーバーが乱れ、角質が未成熟に。
例:卵、鶏むね肉、魚、豆腐、納豆
- 必須脂肪酸(うるおいの膜づくり)
細胞膜を柔らかくし、乾燥しにくい肌を作る。
例:サバ・イワシ、くるみ、亜麻仁油、エゴマ油
- ビタミンA(肌の再生を促す)
乾燥による荒れ・ごわつきに非常に有効。
例:ほうれん草、にんじん、卵黄、レバー
- ビタミンE(血行促進)
血流が良くなることで、肌への栄養届けがスムーズに。
例:アーモンド、アボカド、かぼちゃ
栄養は“角質層の質”を決める最初のステップ。
外側のケアの効果を高めるためにも欠かせません。
腸内環境を整えると乾燥しにくい肌質になる
腸は栄養吸収の入口であり、腸内環境が乱れると肌まで栄養が届きにくくなります。
また、腸内で発生した炎症は肌にも影響し、乾燥・赤み・敏感化につながることも。
◇腸を整える食習慣
- 発酵食品(ヨーグルト、味噌、キムチ)
- 食物繊維(海藻、根菜、きのこ類)
- 水溶性食物繊維(もち麦、オートミール)
腸内環境が整うと、肌の水分保持力が安定し、乾燥しにくい体質に変わります。
冷えを改善すると、乾燥が一気に楽になる
冷えは乾燥肌の大敵です。
血流が悪くなることで栄養が届きにくく、皮脂分泌も低下し、乾燥が続きやすくなります。
◇冷え対策のポイント
- ふくらはぎを温める(第二の心臓と言われる重要部位)
- 朝は白湯で内臓を温める
- 入浴は 38〜40℃ のぬるめでじっくり
冷えが取れると「肌のトーンが上がる」「乾燥しにくくなる」など体感しやすいメリットが多くあります。
睡眠は“肌の修復時間”の中心
睡眠中、肌は自動的に修復モードに入り、乾燥改善が進むゴールデンタイムです。
◆睡眠の質が悪いと起こること
- ターンオーバーの乱れ
- 角質が未成熟のまま表面へ
- バリア機能低下
◇質を上げるコツ
- 就寝1〜2時間前の入浴
- 寝室の湿度は40〜60%
- 寝る前のスマホは控える(ブルーライトで自律神経が乱れる)
睡眠は“最速で乾燥を改善するインナーケア”といっても過言ではありません。
ストレスケアは乾燥対策の隠れた要
ストレスは自律神経を乱し、血流低下やホルモンバランスの乱れを引き起こします。
これにより、乾燥・赤み・ニキビなどのトラブルが慢性化しやすくなります。
◇今日からできるストレスケア
- 深呼吸・瞑想
- 軽いストレッチ
- 5分の“何もしない時間”をつくる
ストレスに対する小さなケアは、肌の回復力を大きく支える力になります。
内側のケアを整えることで乾燥改善は加速する
乾燥対策は、“外側から守り、内側から育てる”この両輪が揃ってこそ最大の効果を発揮します。
インナーケアは一朝一夕では変わりませんが、続けるほど「乾燥しにくい肌質」へと確実に近づいていきます。
次の章では、乾燥を悪化させるNG行動と、それをどうやめるかを詳しく紹介します。
乾燥を悪化させる“やってはいけない習慣”とその改善法

乾燥を改善するには「何をするか」と同じくらい、「何をやめるか」も重要です。
実は多くの人が“無意識に”乾燥を悪化させており、これらのクセが改善スピードを遅らせています。
ここでは、今日から見直せるNG習慣と、やめるための具体策を紹介します。
NG:顔を触るクセが多い
私たちは無意識に1日に数百回、顔に触れていると言われています。
特に乾燥を感じると、手で確かめるように頬や口元を触りがちです。
◆乾燥が悪化する理由
- 摩擦がバリア機能を低下させる
- 手の雑菌が炎症を招く
- 皮脂が奪われ、赤み・ヒリつきが悪化
◇改善策
- “手を顔に近づける前に気づく”ために、机の上にメモや付箋を置く
- 不安や緊張で触るクセがある場合は深呼吸で置き換える
触らないだけで、赤みと乾燥が落ち着くケースはとても多いです。
NG:洗顔・クレンジングを“ゴシゴシ力”で行う
洗う行為はスキンケアの中でもっとも肌負担が大きい部分です。
乾燥肌の多くは、実は「落としすぎ」が原因で悪化します。
◆NGの例
- 皮脂の多いTゾーンを強くこする
- ぬるま湯ではなく熱いシャワーで洗う
- 乾燥しているのに朝も泡洗顔をする
◇改善策
- クレンジングは“指が肌を滑る圧”より下で
- 洗顔は泡で触れるだけ
- 朝は「ぬるま湯だけ」または“保湿液で拭き取らない洗顔”も有効
洗う力を弱めただけで、乾燥が数日で改善する人も多いです。
NG:保湿を化粧水だけに頼ってしまう
化粧水はあくまで「水分補給」であり、保湿を完成させるためには油分が不可欠です。
◆化粧水のみがNGな理由
- 入った水分がすぐ蒸発してしまう
- 角質層の保水力が育たない
- 肌が“常に乾燥状態”を記憶してしまう
◇改善策
- 化粧水 → 美容液 → 乳液(→ 部分的にクリーム)
- 特に目元・口元は“油分保湿”を強化する
油分が軽視されがちですが、乾燥肌の根本改善には必須のステップです。
NG:不要な角質ケアのやりすぎ
酵素洗顔やピーリングは人気ですが、乾燥中に頻繁に行うと逆効果になることがあります。
◆乾燥が悪化する理由
- 角質が薄くなり、刺激を受けやすい
- セラミドが流出し、バリア機能が低下
- 水分蒸発が加速してしまう
◇改善策
- 角質ケアは“週1回まで”
- 乾燥や赤みがある日は中止
- 角質ケア後はセラミド中心の保湿を徹底する
“角質ケアのしすぎ”は肌悩みを長引かせる原因のひとつです。
NG:紫外線を「夏だけのリスク」と考える
紫外線は季節を問わず降り注ぎ、特にUVAはガラスを通過して肌内部へダメージを与えます。
◆乾燥に与える影響
- バリア機能の低下
- セラミド量の減少
- 赤み・シワ・くすみの増加
◇改善策
- SPFは季節ではなく“外出時間”で選ぶ
- 室内作業の日も、窓側なら必ずUVケア
- 日焼け止めを塗りたくない人は“スキンケアUV”が便利
紫外線は乾燥を“内部から進行させる”最強の敵です。
NG:ストレスや睡眠不足を軽視する
肌はストレスや睡眠と密接に関わっています。
これらが乱れると、いくら保湿をしても乾燥しやすい状態が続きます。
◆乾燥が悪化する理由
- ターンオーバーが乱れる
- 血流低下で栄養が届かない
- 皮脂分泌がアンバランスに
◇改善策
- “睡眠前の深呼吸”を習慣化する
- 1〜2時間前に入浴して体温リズムを整える
- 夜のスマホ使用時間を短縮
スキンケアだけでは限界があり、体内環境が整うと乾燥は驚くほど改善します。
NG行動を“ゼロにする”より“減らす”ほうが続けやすい
完璧なケアを目指す必要はありません。
乾燥を悪化させる行動を10回→5回→2回と減らすだけでも、バリア機能は確実に回復してきます。
乾燥ケアは“足し算”だけでなく“引き算”がとても重要。
NG習慣を手放すことが、最短で乾燥を改善する近道です。
まとめ
乾燥肌は、単に「うるおいが足りない」だけの問題ではありません。
肌質・生活動線・体内環境・無意識のクセなど、複数の要素が重なって起こる“複合型のトラブル”です。
だからこそ、原因を正しく見極めれば、改善への道筋は必ず見えてきます。
本コラムでは、乾燥のタイプ分類、症状別ケア、角質層の回復リズム、生活動線の整え方、インナーケア、そして避けるべきNG習慣など、多角的な視点で乾燥の仕組みを解説してきました。
今日からできる“ひとつの小さな習慣”を積み重ねるだけで、肌は確実に変わり始めます。
あなたの乾燥は、必ず改善できます。
正しい知識とやさしいケアで、肌本来のうるおいを取り戻していきましょう。
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