2025年7月8日2025年7月8日美容資格

サロンにおける衛生管理の重要性とおすすめの関連資格

エステサロンは、お客様の「美しくなりたい」という願いに応える場所です。

 

しかし、そのサービスが肌に直接触れる施術を含むことから、何よりも徹底した衛生管理が成功の鍵を握ります

 

衛生管理は、お客様の安全を守り、安心感を提供することで、サロンへの信頼を築き、結果として集客やリピート率の向上に直結します。

 

このコラムでは、エステサロンにおける衛生管理の重要性から具体的な実践方法、そして関連する資格について詳しく解説します。

 

エステサロンにおける衛生管理の重要性

 

エステサロンでは、お客様の肌に直接触れる機会が非常に多いため、施術中の不衛生な状態肌トラブルを引き起こすリスクがあります。

 

また、密閉された空間での長時間滞在は、外部から持ち込まれた感染症がスタッフや他のお客様に蔓延するリスクを高める可能性も指摘されています。

 

お客様が安心して施術を受け、トラブルなく美しくなるためには、サロン全体の衛生管理が不可欠です。

 

これは施術ルームだけでなく、スタッフルームや在庫置き場など、お客様の目に触れない場所まで念入りに行うべきです。

 

感染症予防のためには、特に以下のポイントが重要です。

 

手指の消毒の徹底

お客様がサロンに入店する際の手指消毒への協力依頼や、エステティシャン自身の施術前後の手指消毒が欠かせません。

 

 

✅サロン内の換気と湿度管理

特に風邪やインフルエンザが流行しやすい冬場は、こもりがちな空気を十分に換気し、加湿器などで適切な湿度を保つことが大切です。

 

空気清浄機の活用も効果的でしょう。

 

 

✅スタッフの体調管理

エステティシャンが体調不良のまま勤務することは、お客様や他のスタッフへの感染リスクを高めます。

 

体調不良を感じた際にすぐに相談できる体制を整え、適切なシフト管理を行うことが重要です。

 

 

 

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エステサロンで行うべき具体的な衛生管理

 

サロン内の衛生管理は多岐にわたりますが、ここでは特に重要な項目を具体的に説明します。

 

施術者の手指衛生

施術者の手指は、お客様の肌に直接触れるため、最も清潔に保つべき場所です。

 

施術の前後、またパックなどで時間を置く間に備品に触れた場合など、肌以外の場所を触るたびに必ず消毒を行いましょう

 

施術を行うスタッフは、お客様の肌を傷つけず、雑菌の繁殖を防ぐために、爪を短く切り、常に清潔に保つことが求められます。

 

顔面施術時には、清潔なマスクを着用することも重要です。

 

 

サロン内の清掃・消毒

お客様が快適に過ごせる空間を提供するために、サロン全体の清掃と消毒は徹底すべきです。

 

施術ルーム・更衣室は、お客様が最も長く滞在し、肌を露出する場所であるため、特に清潔さが求められます。

 

日常的な掃除機やモップがけはもちろん、窓のサッシや棚の上の埃、そして女性のお客様が多いエステサロンでは特に髪の毛の徹底的な除去が不可欠です。

 

お客様目線で清潔さを確認し、不必要な物品は置かないようにしましょう。

 

洗面所・シャワールーム・トイレなどの水回りは汚れが目立ちやすく、サロン全体の印象を左右します。

 

お客様が退店するごとに清掃を行い、「消毒済み」と明示することでお客様に安心感を与えることができます

 

トイレ掃除に使用する雑巾は使い捨てるか、使用後に消毒を徹底しましょう。

 

ドアノブや筆記用具など、お客様が頻繁に触れる細かな物品も忘れずに消毒することが大切です。

 

 

使用する器具・用品の衛生管理と保管

施術に使用する器具や用品の衛生管理は、お客様の安全に直接関わります。

 

皮膚に接する器具は、お客様一人ひとりに対して消毒済みの清潔なものを使用しなければなりません。

 

使用後はすぐに流水で洗浄し、適切な方法で消毒を行います。

 

タオル類も同様に、お客様ごとに清潔なものに交換し、使用後は洗浄・消毒を徹底します。

 

洗浄・消毒が完了した器具やタオルは、埃のたまらないキャビネットや蓋つきの収納ケースに保管し、使用済みのものと明確に区別することが重要です。

 

施術に伴って発生する廃棄物は、蓋つきの専用容器に入れ、適正に処理することが求められます。

 

特に血液や体液が付着した器具やタオルは、熱水や次亜塩素酸ナトリウム液を用いるなど、特別な消毒を行う必要があります。

 

 

ドリンク提供における衛生管理(食品衛生法関連)

お客様へのドリンク提供は、リラックスを促すサービスですが、食品衛生法に注意が必要です。

 

カップやソーサーは、洗浄後に消毒してから使用しましょう。

 

提供するドリンクの消費期限や適切な管理方法を常に確認することが大切です。

 

最も重要な点は、ドリンク料金を直接的にとらず、サービスとして提供することです。

 

料金を徴収したり、ドリンクの効能を大々的に宣伝したりすると、飲食店としての営業許可が必要になる場合があります。

 

メーカーから仕入れたサプリメントの販売は食品営業許可が不要ですが、サロンで独自にブレンドしたお茶などを販売する場合は、製造責任がサロン側にあるとみなされ、食品営業許可が必要となる可能性があるため注意が必要です。

 

 

 

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衛生管理に関する基本知識

 

衛生管理に関する用語は多岐にわたりますが、特に混乱しやすい「消毒」「殺菌」「滅菌」の違いを正しく理解しておくことが重要です。

 

消毒(Disinfection)

細菌やウイルスの働きを低下させることを指します。

 

一般的に「消毒」という効能を謳えるのは医薬品や医薬部外品のみです。

 

 

殺菌(Bactericidal/Germicidal)

細菌やウイルスなどを死滅させることを指しますが、全体のたった一部が死滅しただけでも「殺菌」と呼べるため、注意が必要です。

 

 

滅菌(Sterilization)

最も強力な方法で、その場にある全ての微生物を死滅させた状態を指します。

 

 

その他、衛生管理でよく耳にする用語としては以下のものがあります。

 

・感染:病気の原因となる微生物が体内に入り込み、増殖した状態。

 

・除菌:対象物から菌などの微生物を取り除くこと

 

・抗菌:微生物の増殖を防ぐこと

 

これらの基本的な知識を習得し、病原微生物や感染経路、感染対策への理解を深めることが、効果的な衛生管理に繋がります。

 

 

 

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エステサロンの衛生管理に関する主な資格

 

エステティシャンとして働く上で必須の国家資格はありません。

 

ですが、衛生管理に関する専門知識を証明する民間資格の取得は、お客様からの信頼獲得やサロン運営において大きなメリットとなります。

 

ここでは、衛生管理におすすめの資格をご紹介します。

 

サロン環境衛生管理士(日本スキンケア協会認定)

日本スキンケア協会が認定するこの資格は、エステ・美容サロンに特化し、感染予防に重点を置いた衛生環境管理ができる人材の育成を目的としています。

 

医師や医学博士がテキストを監修しているため、医学的な観点からの専門知識を習得できます。

 

公衆衛生、感染症(病原体、消毒・殺菌・除菌の違い)、感染症対策(消毒方法、滅菌法)、サロンにおける衛生管理のポイント(清掃、器具消毒、手洗い、健康管理)など、実践的な内容を深く学ぶことができます。

 

通信講座形式で提供されており、約2時間の動画学習とオンライン試験で資格取得が可能です。

 

Web申込で33,800円(税込)ですが、講座費用の他、資格合格後に認定登録料5,000円と年会費6,000円が必要です。

 

この資格を取得することで、お客様からの信頼獲得、適切な消毒液の選択理解、サロンの安心・安全・信用向上、ひいては集客・リピート率アップに繋がると期待できます。

 

 

 

AJESTHE認定衛生管理者

日本エステティック協会(AJESTHE)が認定する、サロンの衛生管理に関する基礎的な資格です。

 

エステティックに従事する者全員が共通の衛生認識を持つことを目的としています。

 

日本エステティック研究財団の「エステティックの衛生基準eラーニング」を受講し、確認テストに合格した後、協会に申請することで取得できます。

 

AJESTHE認定ボディエステティシャンまたはAJESTHE認定フェイシャルエステティシャン資格取得者、もしくは協会会員・認定校学生が受講可能です。

 

受講料は2,000円(税込)です。

 

▶AJESTHE認定衛生管理者の詳細はこちら

 

 

CIDESCO衛生管理資格

国際的なエステティック組織であるCIDESCOが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて衛生知識の徹底を促すために新設した資格です。

 

オンラインでの25問の選択式テストで、20問以上正解すれば合格となります。

 

CIDESCO資格保持者で日本支部の一般会員、またはCIDESCO国際認定校の学生が対象です。

 

受講料は2,240円(税込)で、別途証書発行代金が8,250円かかります。

 

▶CIDESCO衛生管理資格の詳細はこちら

 

 

ネイルサロン衛生管理士

エステサロンとは異なりますが、JNA(日本ネイリスト協会)が制定するネイルサロンの衛生管理に関する認定資格です。

 

ネイルサロンにおいて衛生管理を正しく普及させることを目的としており、取得することでサロン開業や集客に有利に働きます。

 

講習会を受講し、その場で筆記試験に合格する形式です。

 

オンラインでの受講も可能となっています。

 

講習会で学んだ内容から出題されるため、しっかりと対策すれば難しくありません。

 

取得年を含んだ3年目の12月末日までが有効期限ですが、一度の継続手続きを完了すれば「永続認定」となり、無期限に保証されます。

 

▶ネイルサロン衛生管理士の詳細はこちら

 

 

衛生管理資格取得のメリットと方法

衛生管理に関する資格は、エステティシャンとして働く上で多くのメリットをもたらします。

 

資格取得のメリット

資格は、エステティシャンとしての専門知識と技術を客観的に証明するものであり、お客様に安心感と信頼を与えやすくなります。

 

また、資格を持っていることで、未経験者でも好条件の求人に応募しやすくなり、就職や転職活動において有利に働きます。

 

サロン側も、研修に時間を要しない「即戦力」として評価する傾向にあります。

 

手当面でも、資格手当が支給されたり、スキルや経験が評価されて給与アップに繋がることも期待できます。

 

専門知識に裏付けられた施術は、お客様に納得感のあるサービスを提供し、質問に対しても的確なアドバイスが可能になります。

 

さらには、サロンのサービス品質を向上させ、他店との差別化を図る重要な要素となります。

 

難易度の高い資格は、キャリアアップに繋がり、サロン内での指導者的な立場を目指すことも可能になります。

 

 

資格取得の方法

エステティシャン関連の資格取得には、主に以下の4つの方法があります。

 

専門学校に通う

エステに加えて美容に関する幅広い知識を総合的に学びたい場合に適しています。時間はかかりますが、体系的な学習が可能です。

 

民間スクールに通う

エステティシャンに特化した学習ができ、専門学校よりも短期間で費用を抑えられます

 

夜間や通信など、多様な学び方を選べるのも魅力です。

 

 

独学で勉強する

エステサロンで働きながら、費用を抑えつつ知識やスキルを身に付ける方法です。

 

サロン独自の研修がある場合や、未経験歓迎の求人を選ぶと良いでしょう。

 

 

通信講座を利用する

自分のペースで学習を進められ、費用も比較的安価です。

 

自宅で受験できる資格もあり、時間や場所に制約がある方におすすめです。

 

 

 

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衛生管理体制の構築とルールの設定

 

資格取得と並行して、サロン内で具体的な衛生管理体制を構築し、ルールを明確にすることが不可欠です。

 

・施設ごとに衛生管理責任者を定め、従業員の衛生教育に努めることが推奨されます。

 

・具体的な衛生管理要領を作成し、全従業員に周知徹底することが重要です。

 

・日常的な衛生管理を徹底するためには、チェックリストの活用が有効です。

 

・新しい衛生技術の導入や法律の変更があった際には、定期的にルールを見直し、更新することが大切です。

 

 

 

まとめ

エステサロンの成功は、単に優れた施術技術だけでなく、お客様が安心してサービスを受けられる環境をどれだけ提供できるかにかかっています。

 

衛生管理の重要性を深く理解し、関連資格の取得を通じて専門知識を身につけることは、お客様からの信頼獲得、サロンのブランド力向上、そしてエステティシャン自身のキャリアアップに繋がるでしょう。

 

▶▶関連記事:エステサロンの衛生管理が成功のカギ!徹底すべきポイントと注意点

 

 

この記事を書いた人

高本聖子先生‗日本スキンケア協会認定講師 width=

高本 聖子 先生

*日本スキンケア協会 認定講師
*プライベートサロンBPPT桜梅桃季 オーナー
*ビューティースクールBPPT桜梅桃季アカデミー 学院長
*リアルビューティーアカデミー 学院長
*JSSE 認定エステティシャン
*日本エステティック協会 認定エステティシャン

大手エステサロン2社に勤務し、店長マネージャー、トレーナーとして社員教育や顧客向けのイベント講師などを務める。 メンズエステ指導、トレーナー育成やシンガポールの大手チェーン店への技術指導研修などの経験も持つ。
現在は35年間の美容経験と教育指導30年キャリアを活かし、自サロンの運営、サロンのコンサルティング、独立開業の支援などを中心に現場に沿った指導を行う。日本のみならず中国のエステサロンでも教育を行う。これまでに教育した人数は5,000名以上。

 

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