2025年10月20日2025年10月20日美容コラム

【完全網羅】お客様の信頼とリピートを獲得する美容接客の極意

 

美容業界で働くプロフェッショナルにとって、カットやエステなどの「技術力」はもちろん重要ですが、お客様の心をつかみ、リピートへとつなげる「接客力」は、技術と同等かそれ以上に大切なスキルです。

 

美容師は技術職であると同時にサービス業であり、接客マナーはサロン全体の信用や評価、そして売上に直結します。

 

このコラムでは、お客様に安心感と満足感を提供し、信頼を築くための美容接客の極意について、基本的なマナーから応用スキルまでを解説します。

 

 

【完全網羅】お客様の信頼とリピートを獲得する美容接客の極意

 

美容業界における接客の重要性とプロの役割

美容業界の仕事は、高度な技術が求められる一方で、『接客能力』も不可欠です。

 

技術力が優れていても、接客態度が悪ければお客様は定着しません。

 

接客の質がもたらすメリット

お客様に質の高いサービスを提供することで、サロンのブランド力やイメージ向上に繋がり、新規顧客の獲得やリピーター増加、結果的に売上貢献に繋がります。

 

接客の技術とは、コミュニケーション能力ヒアリング力であり、これらを磨くことでサロンの信頼性が高まります。

 

 

「接客」と「接遇」の違い

単なる「接客」が、お客様に不快感を与えない最低限のマナーでのサービス提供を指すのに対し、「接遇」は、それにおもてなし精神をプラスし、お客様一人ひとりに合わせたサービスを提供することです。

 

特に自由診療を提供する美容クリニックなどでは、接遇に力を入れることが差別化の鍵となります。

 

 

 

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基本的な接客マナー:お客様に安心感を与える土台

 

お客様に安心感を与えるには、まず「人」としての基本マナーを徹底することが必要です。

 

清潔感を追求した身だしなみとにおい対策

「人をキレイにする」美容業界で働くスタッフは、清潔感のある身だしなみが必須です。

 

  • 髪型・爪

自分に似合う清潔感のある髪型を心がけ、爪は施術の妨げにならないよう短く整えます。

爪や指先は雑誌やドリンクを提供する際に目につきやすいため、清潔さを保つことが重要です。

 

  • アクセサリー・服装

施術の邪魔になる大ぶりなものや音が出るアクセサリーは避け、服装は清潔感とトレンド感を意識し、カラー剤などで汚れていないものを着用します。

 

  • におい対策

施術中はお客様との距離が近いため、口臭や体臭、タバコの臭い、部屋干し臭、きつすぎる香水や柔軟剤に特に配慮が必要です。

 

 

笑顔と姿勢、挨拶の基本

接客業において、笑顔を絶やさないことは基本中の基本です。

 

笑顔を自然に作れる人こそが、接客業のプロといえます。

 

お客様に好印象を持ってもらうため、笑顔が苦手な人も練習することが推奨されます。

 

挨拶はお客様と最初に交わす会話であり、笑顔で相手の目をしっかり見て、聞き取りやすいトーン(普段より一段階高い声)で行います。

 

お辞儀の使い分け

挨拶とあわせて行うお辞儀は、場面によって適切な角度を使い分けます。

 

  • 会釈(15°):ご案内やお茶を出すとき。
  • 敬礼(30°):お迎えや感謝を表すとき。
  • 最敬礼(45°):深い感謝やお詫びを表すとき。

 

立ち姿勢についても、背筋を伸ばすことで第一印象が良く、やる気がないように見えないよう心がけます。

 

 

 

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信頼を築くための言葉遣いとコミュニケーション

 

お客様が少しでも不快に感じると、すぐに別のお店へ変わってしまうほど、言葉遣いはお客様にとって敏感な要素です。

 

正しい敬語と「8大接客用語」の徹底

接客する立場として、正しい敬語(尊敬語、謙譲語、丁寧語)を使えることは最低限のマナーです。

 

特に新人は、尊敬語と謙譲語を取り違えるミスに注意が必要です(例:「拝見してください」→「ご覧ください」)。

 

まずは「です・ます」などの丁寧語を使えるように徹底することが推奨されます。

 

基本的な8つのフレーズである「8大接客用語」(ありがとうございます、いらっしゃいませ、かしこまりました、など)をシチュエーションに合わせて適切に選べるよう、日頃からイメージトレーニングをすることが大切です。

 

 

避けるべきNGワード

日々の忙しさでつい使ってしまいがちなNGワードを意識して改善することで、接客の質が向上します。

 

×「い」抜き言葉:「○○してます」ではなく「○○しています」と話す。

 

×「~になります」:変化を表す言葉なので、「本日のお会計は○○円でございます」が正しい。

 

×「○○円からお預かりいたします」:「から」は不要で、「○○円お預かりいたします」が適切です。

お釣りがない場合は「ちょうどいただきます」と表現を変えます。

 

 

柔らかい印象を与えるクッション言葉

お客様になにかお願いする際に、話の最初にクッション言葉(例:「恐れ入りますが」「失礼します」)を付け加えることで、命令口調にならず柔らかい印象を与えることができます。

 

 

 

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お客様の心をつかむカウンセリングと会話術

 

美容師は、他の業種に比べてお客様の滞在時間が長く、会話をする時間も圧倒的に長いのが特徴です。

 

カウンセリングは、お客様の悩みを把握し、認識のズレをなくす上で非常に重要です。

 

聞き上手になるための姿勢

コミュニケーションにおいて大切なのは「話すこと」よりも「聞くこと」です。

 

お客様の心をつかむには、「相手が話しやすい聞き方」を意識しましょう。

 

アイコンタクト:施術中は鏡越しに相手を見て、自然なアイコンタクトと適度な相づちを心がけます。

 

質問のタイミング:質問をする際は、お客様の話の腰を折らないタイミングを見計らいます。

 

専門用語の禁止:お客様を困惑させないよう、専門用語は避け、わかりやすい言葉で説明します。

 

 

会話のきっかけと緩急

会話が続かないと悩む場合は、まず美容師側から自己開示(自分の休日の過ごし方や興味のあることなど)をすることで、お客様の警戒心を和らげ、話しやすい環境を作れます。

 

また、お客様によっては会話を楽しみたい人も、落ち着いて過ごしたい人もいるため、少し話してみて、表情や反応からお客様に合わせた会話量を判断し、会話を楽しむ時間と施術をする時間で緩急をつけるのがコツです。

 

 

 

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シーン別:来店からお見送りまでの接客フロー

 

お迎え〜席へのご案内

お客様が来店されたら、笑顔と明るい挨拶で迎え入れます。

 

予約を確認し、荷物を預かったら、待合スペースへ案内します。

 

マスクをしている場合、目元でも笑顔を伝えることを意識しましょう。

 

席への案内の際は、お客様の2~3歩前を歩き、ちょっとした案内でも丁寧さを心がけることが、短い時間での印象づくりに大切です。

 

 

施術中の配慮とサービス

シャンプーなどの施術を担当する際には、初めての方には必ず自分の名前を伝えて挨拶し、「これからおこなう施術の説明」を丁寧におこないます。

 

スタイリストとの関係性とは異なり、新人は特にこまめな声掛けや優しさ、丁寧さが大切です。

 

雑誌やドリンクを提供する際は、お客様の好みや年齢を考慮して選び、利き手側に置くなどの配慮が親切です。

 

手先が汚れている場合があるため、提供時は手先をきれいにする意識も必要です。

 

 

お会計とお見送り

お会計は来店してくださったお客様との締めくくりとなる接客であり、最後まで感謝の気持ちをもって対応します。

 

預かった荷物を渡し、施術内容と金額を確認しながら、速さよりも丁寧さ・正確さを重視して落ち着いて対応します。

 

お見送り時には、ドアを開けるなどの行動をし、適切な角度の最敬礼(45°)で感謝を述べ、お客様の姿が見えなくなるまで見送ります。

 

 

 

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スキルアップとリピートに繋がる応用技術

 

気配り・心配りでお客様を先読みする

気配り・心配りとは、お客様を思いやって先回りして行動することを指します。

 

体調への配慮:妊婦のお客様へのブランケットや椅子の用意、お客様の体調や気分、室温への配慮など。

 

心地よい空間の維持:お店はリラックスする場所でもあるため、室温や照明、声の大きさに注意を払う。

 

 

プロとしての提案力

美容師は「髪のプロ」として、お客様の髪が良くなるためのアフターケア商品の提案や、季節や洋服に合わせたスタイルの提案を常に行えるようにすることが求められます。

 

ただし、強引な勧誘は避け、お客様のニーズをしっかりと見極め、あくまで「提案」という形で、お客様の理想像に近づくための方法を提示することが重要です。

 

 

お客様情報を詳細に記録する

再来率を上げるためには、お客様の情報をできる限り詳細に残すことが不可欠です。

 

会話内容や注意点(例:コーヒーが苦手なこと)をメモに残すことで、次回再来店時に「私のことを覚えていてくれた」とお客様に喜んでもらえ、信頼感が醸成されます。

 

 

 

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組織と自己成長:スキルアップの訓練と課題

 

スタッフ間の円滑な報連相

お客様との接客だけでなく、スタッフ間の円滑なコミュニケーション(報連相)も重要です。

 

  • 指示を受けるとき

5W1H(いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのように)を意識して正確に聞き、複数の指示が出た場合は優先順位を確認します。

 

  • 報告するとき

指示された仕事が終わったタイミングで、具体的かつ簡潔に報告し、ミスや失敗はできるだけ早く報告することが、お客様への迷惑を防ぐために重要です。

 

 

接客上手な美容師の特徴

接客が上手い人は、技術力に自信があるため接客に余裕が生まれ、「心地よい場」を作り出しています。

 

彼らは、いつも笑顔で、お客様が気持ちよく話せる聞き上手であり、お客様の求めていることを早めに読み取って合わせた接客ができます。

 

 

スキルアップのための訓練

接客スキルは一朝一夕では身につきませんが、意識的な努力で向上できます。

 

ロールプレイングやケーススタディを豊富に取り入れ、基本的な知識を動作や言葉遣いに落とし込む練習を繰り返します。

 

接客の上手い先輩や他店の接客の様子を観察して学ぶこと、自分の接客を録画して客観的にチェックすること が効果的です。

 

お客様に「この化粧品をつかうとキレイになりますよ、って、お客様にお伝えすることなんだよ」というように、商品を売ることではなく、お客様の美をサポートするというプロとしての意識を持つことが大切です。

 

 

 

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まとめ|技術以上に大切な“接客力”がサロンの未来をつくる

美容業界で成功するためには、優れたカット技術や施術スキルだけでなく、お客様に「また来たい」と感じてもらえる“接客力”が不可欠です。

 

どんなに技術が高くても、接客対応が冷たければお客様は離れてしまいます。

 

一方で、丁寧な言葉遣い・笑顔・気配り・姿勢といったマナーが備わっていれば、それだけでお客様の信頼と安心感を得ることができます。

 

接客力は単なるマナーではなく、お客様の心を理解し寄り添う力です。

 

相手の立場に立ち、感情をくみ取り、必要なときに最適な言葉を届けることで、「この人に任せたい」「また会いたい」と思ってもらえる関係が生まれます。

 

さらに、スタッフ全員が同じ意識を持って接客できるサロンは、雰囲気そのものが温かく、口コミや紹介での新規来店にもつながります。

 

接客マナーを磨くことは、サロンのブランド力を高め、長く愛される土台を築くことに直結します。

 

お客様にとって“心地よい時間”を提供するために、技術と同じように、接客力を日々磨いていくことが美容業界の真のプロフェッショナルへの道です。

 

 

▶関連記事:信頼と笑顔を生む「接客マナー講座」でおもてなし力を磨く

 

 

この記事を書いた人

高本聖子先生‗日本スキンケア協会認定講師 width=

高本 聖子 先生

*日本スキンケア協会 認定講師
*プライベートサロンBPPT桜梅桃季 オーナー
*ビューティースクールBPPT桜梅桃季アカデミー 学院長
*リアルビューティーアカデミー 学院長
*JSSE 認定エステティシャン
*日本エステティック協会 認定エステティシャン

大手エステサロン2社に勤務し、店長マネージャー、トレーナーとして社員教育や顧客向けのイベント講師などを務める。 メンズエステ指導、トレーナー育成やシンガポールの大手チェーン店への技術指導研修などの経験も持つ。
現在は35年間の美容経験と教育指導30年キャリアを活かし、自サロンの運営、サロンのコンサルティング、独立開業の支援などを中心に現場に沿った指導を行う。日本のみならず中国のエステサロンでも教育を行う。これまでに教育した人数は5,000名以上。

 

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