2025年11月19日2025年11月19日お肌のセルフエステ,カウンセリングテクニック,美容コラム
肌分析とは?プロが教える正しいやり方と目的・重要性を徹底解説

「どの化粧品が自分に合っているのか分からない」「ずっと同じケアをしているのに肌悩みが改善しない」――そんな“スキンケア迷子”の原因になっているのが、じつは肌分析不足です。
肌分析とは、なんとなく「乾燥肌っぽい」「テカりやすい」と感覚で判断することではなく、肌質・今の肌状態・生活習慣やホルモンバランスなどの背景を整理し、客観的に肌を理解すること。
サロンやカウンセリングの現場では、どの化粧品や施術を選ぶかを決める「設計図」のような、とても重要なプロセスです。
このコラムでは、セルフチェックの一歩先を行く“プロ目線の肌分析の考え方とやり方”を、日本スキンケア協会ならではの視点で解説します。
肌分析の目的から、現場で役立つ観察ポイント、サロンでの具体的な流れまで、順を追って見ていきましょう。
肌分析とは?|目的と重要性をわかりやすく解説

スキンケアの効果を最大限に引き出すために、最初に欠かせないステップが「肌分析」です。
ここでいう肌分析とは、単に“なんとなく乾燥している/テカっている”と感じるレベルではなく、
肌質
現在の肌状態
肌悩みの背景(生活習慣・ホルモン・季節など)
を客観的に整理していくプロセスを指します。
サロンやカウンセリングの現場では、この肌分析が「どの化粧品を選ぶか」「どの施術を行うか」「お客様に何を優先してお伝えするか」を決める“設計図”の役割を果たします。
言い換えると、肌分析はスキンケアや施術の「診断書」であり、「提案の土台」となる非常に重要な工程なのです。
肌分析の目的 ― 「思い込み」ではなく「事実」で肌を見る
肌分析の最大の目的は、思い込みではなく事実に基づいて肌を見ることです。
たとえばお客様の中には、
「昔から乾燥肌だから、とにかくクリームをたっぷり塗っています」
「脂性肌なので、さっぱり系のアイテムしか使いません」
とおっしゃる方が少なくありません。
しかし実際に肌を拝見すると、
表面はテカっているのに、内部は乾燥している「インナードライ肌」
部位によって乾燥とテカりが混在する「混合肌」
など、自己申告とは異なるケースが多く見られます。
このギャップをそのままにしておくと、
・乾燥を悪化させるケアを続けてしまう
・皮脂を過剰に取りすぎて、さらにテカりが増える
など、トラブルを長期化させてしまう原因になります。
そこで肌分析では、以下の3点を体系的に確認していきます。
- 肌質の正確な把握(乾燥・脂性・混合・敏感など)
- 肌状態のチェック(水分量・油分量・キメ・毛穴・ハリ・透明感など)
- 肌悩みの根本原因を整理(乾燥・紫外線・ターンオーバーの乱れ・摩擦・生活習慣など)
こうして「事実ベースで肌を理解すること」が、スキンケアや施術を成功に導く第一歩です。
肌分析が重要な理由 ①:スキンケア迷子を減らす
口コミやSNSを参考に化粧品を選ぶ方は多いですが、どれだけ評判の良いアイテムでも、その人の肌状態に合っていなければ十分な効果は得られません。
肌分析を行うことで、
「今の肌に足りないもの」
「逆に与えすぎているもの」
が明確になります。
その結果、
・肌荒れや毛穴トラブルを悪化させるリスクを下げる
・無駄な買い物やケアの迷走を防ぐ
ことにつながります。
サロン側にとっても「なぜその提案をするのか」を論理的に説明できるため、お客様からの信頼にも直結します。
肌分析が重要な理由②:原因にアプローチできる
肌分析の視点は、“トラブルという結果”ではなく“原因”に向いていることが特徴です。
例えば、
- 毛穴の開き:乾燥・皮脂過多・たるみ、どれが主因か
- くすみ:血行不良・乾燥・メラニン蓄積など、どのタイプか
- ニキビ:摩擦・睡眠不足・ストレス・過度の皮脂ケアなど、何が影響しているか
といった具合に、同じ「毛穴」「くすみ」「ニキビ」という悩みでも、人によって原因はまったく異なります。
肌分析で原因をできる限り特定できれば、「とりあえず保湿」「とりあえず美白」といった漠然とした提案ではなく、「だから今は、このケアを優先しましょう」と、具体的な道筋を示せるようになります。
肌分析が重要な理由③:ゆらぎや変化を前提にしたケアができる
肌は“一生同じ状態”ではありません。
日本スキンケア協会の公式テキストでも、女性ホルモンや季節変化が肌に与える影響が丁寧に解説されています。
- 年齢
-
季節
-
女性ホルモンの変化
-
ストレスや睡眠
などによって、常にゆらぎます。
月経前に皮脂が増えてニキビができやすくなったり、冬は乾燥しやすく、夏はテカりやすくなったりと、同じ人でも時期によって“別の肌”になります。
定期的に肌分析を行うことで、
「今はどの時期よりも乾燥が強い」
「最近、ハリ低下やキメの乱れが目立ってきた」
といった変化にいち早く気づき、ケア内容をタイムリーに見直すことができます。
まずは自分の肌質を知る|プロが押さえておきたい5つの観察ポイント

肌分析の出発点は、やはり「肌質の把握」です。
ただし、本コラムでは一般的なセルフ診断の手順ではなく、サロンやカウンセリングの現場で役立つ“観察の視点”に絞ってお伝えします。
自宅でできる具体的なセルフチェック(洗顔後10分観察・ティッシュ法・質問チェックなど)の詳しい方法は、既存コラム『スキンケア診断の方法を徹底解説!自宅でできる肌質チェックからAI診断』にまとめられていますので、そちらも併せてご覧ください。
▶関連記事:スキンケア診断の方法を徹底解説!自宅でできる肌質チェックからAI診断
肌質を見るときに必ずチェックしたい5項目
肌質を判断するときは、以下の5項目を中心に観察します。
① 水分量(乾燥度)
頬のつっぱり感、粉ふき、キメの乱れなどから「バリア機能の状態」を推測します。
② 油分量(皮脂の出方)
TゾーンとUゾーンのテカり・化粧崩れの仕方から、「全体」「部分的」どちらの問題かを整理します。
③ キメの状態
皮丘と皮溝の整い方を見て、ターンオーバーやうるおい状態をチェックします。
④ 毛穴の開き方
丸い毛穴か、楕円形か、たるみ毛穴かで、皮脂・乾燥・ハリ低下のどれが強いのかを読み取ります。
⑤ 刺激に対する反応(敏感傾向)
赤み・かゆみ・ピリつきが出やすいかどうかを確認し、「乾燥+敏感」「インナードライ+敏感」といった複合タイプも想定しておきます。
これらを総合的に見ることで、正確な肌質に近づくことができます。
肌質の“ラベル”よりも、「どこがどれくらい強いか」を見る
乾燥肌・脂性肌・混合肌・敏感肌などの分類はとても便利ですが、
・完全に乾燥肌だけ
・完全に脂性肌だけ
という方は多くありません。
実際は、
「乾燥優位の混合肌」
「脂性寄りだが敏感傾向が強い肌」
「インナードライを伴った脂性肌」
のように、特徴が重なり合っていることがほとんどです。
そのため、プロが肌質を見るときは、
・乾燥傾向はどれくらい強いか
・皮脂傾向はどの部位で強いか
・敏感傾向は常時なのか、一時的なのか
という 「強弱」と「部位差」 に注目します。
こうして肌質を“ラベル”ではなく“バランス”として捉えることで、その後の肌分析やケア提案の精度がぐっと高まります。
視診・触診で行う肌分析の基本ステップ

肌分析というと「サロンでしかできない」と思われがちですが、視診(見て判断)と触診(触れて判断)の基本を押さえれば、サロンワークにも自宅ケアにも役立つ“応用力の高い観察力”が身につきます。
ここでは、資格取得やサロン現場を目指す方にも役立つ、プロ寄りの視点での肌分析ステップを紹介します。
肌分析のゴールは「肌の変化に気づくこと」
肌分析は、単に「乾燥している」「テカっている」などの結果を見るだけではありません。
もっとも重要なのは、“いつもとどこが違うのか”を把握することです。
肌は季節・睡眠・ホルモン周期・ストレスの影響を強く受けるため、毎日少しずつ変化します。
この変化に気づけるようになると、トラブルの予兆を早い段階でキャッチでき、悪化を防ぐことにつながります。
そのためにも、自宅での肌分析を習慣にすることは非常に重要です。
正しい肌分析の準備|まずは“ありのままの肌”に戻す
肌の状態を正確に見るためには、次の手順で肌をニュートラルな状態に整えます。
① メイクオフ(摩擦は最小限に)
クレンジングでやさしくメイクや皮脂汚れを落とします。
ゴシゴシこするのは厳禁。
摩擦は赤みや乾燥の原因になるため、肌分析結果を正しく判断できなくなります。
② 洗顔(泡で包むように)
洗顔料をしっかり泡立て、肌に触れる圧を極限まで軽くして洗います。
洗顔後はタオルで軽く押さえるように水分を取ります。
③ 何もつけずに5〜10分待つ
スキンケアをせず“素肌の状態”に戻す時間です。
この5〜10分の間に、肌が乾燥するか、テカるか、赤みが出るかなどを観察します。
これで肌分析の準備は完了です。
視診のステップ|鏡を使って細かく観察する
ここからは実際の「視診」に入ります。
できれば自然光の近くで、拡大鏡があればさらに精度が上がります。
◇ステップ1:全体の肌トーンをチェック
- 朝より暗く見える(=くすみ)
- 黄ぐすみ、赤み、青白さなどの色調
- 小鼻周りや頬の色ムラ
ターンオーバーの乱れや乾燥、血行不良が原因の可能性があります。
◇ステップ2:キメ(皮丘・皮溝)の状態を観察
キメとは、皮膚表面の凹凸の模様のこと。
日本スキンケア協会の公式テキストでも、キメの細かさは「若さ」「美しさ」を判断する重要ポイントとして紹介されています。
- 均一で細かい→健康状態が良い
- 粗く、乱れている→乾燥・ストレス・睡眠不足の影響
- 線が深い→老化によるハリ不足
キメは“肌の状態が表れる鏡”なので、必ずチェックしたい項目です。
◇ステップ3:毛穴の形と開き方を見る
毛穴は肌トラブルのサインを読み取るのに最適です。
- 丸い毛穴:皮脂分泌が多い脂性肌傾向
- 楕円形の毛穴:乾燥によるたるみ毛穴
- 黒ずみが目立つ:角栓・皮脂の酸化
- 頬の毛穴が縦に伸びる:ハリ不足・老化
毛穴の状態から「乾燥」「皮脂過多」「老化」など大まかな原因が分かります。
◇ステップ4:表情ジワ・小ジワのチェック
- 目元の細かい乾燥ジワ
- 眉間・おでこの表情ジワ
- ほうれい線の深さ
小ジワの多くは“乾燥”が原因。
表情ジワは筋肉の使い方のクセが影響します。
早期にケアすることで十分改善できます。
◇ステップ5:赤み・炎症の有無を見る
- 頬の赤み
- ニキビや吹き出物
- 肌のピリつき
赤みは敏感肌・乾燥肌・摩擦・紫外線ダメージのサインです。
触診のステップ|肌の“内部状態”まで判断する
視診だけでは分からない情報を補うのが触診です。
肌に軽く触れ、以下のポイントを確認します。
◇ステップ1:柔らかさ
指で軽く押したときの柔らかさをチェック。
- 柔らかい→水分がある・健康
- 固い→乾燥・角質肥厚・血行不良
「なんとなくゴワつく」というのも重要なサインです。
◇ステップ2:なめらかさ
ほほの表面を軽くなで、ザラつきやごわつきを確認。
- ザラつく→ターンオーバーの遅れ
- なめらか→保湿状態が良い
◇ステップ3:弾力・ハリ
軽く押して、戻りの速さを確認。
- 戻りが早い→ハリが維持されている
- 戻りが遅い→コラーゲンやエラスチンの低下
加齢だけでなく、睡眠不足やストレスも影響します。
生活習慣・環境からの“原因分析”も欠かせない
視診・触診だけでなく、以下の“生活背景”も合わせて確認すると分析の精度が上がります。
- 睡眠時間
- 食事のバランス
- ストレス量
- 生理周期(女性ホルモンの影響は大きい)
- 紫外線・エアコン環境
肌は“生活の鏡”です。
肌状態だけを見ても原因は分からないため、生活習慣もあわせて分析することが大切です。
プロが教える肌タイプ別の“正しい見極め方”

肌分析の中でも、もっとも判断が分かれやすいのが「肌タイプの見極め」です。
乾燥肌・脂性肌・混合肌・敏感肌・普通肌と分類はシンプルに見えますが、実際の現場では“複合タイプ”や“ゆらぎ”によって迷いやすく、自己判断が大きくズレてしまうケースが非常に多くあります。
この章では、日本スキンケア協会のカウンセリング理論も踏まえながら、プロが実際に使用している判断ポイントをシンプルかつ精度高くまとめた「肌タイプの見極め方」をお伝えします。
肌タイプを正しく見極めるための基本ルール
肌質を判断するとき、以下の3つの視点を必ずセットで見ると精度が上がります。
① 水分量(乾燥度)を最優先に判断する
水分が不足した肌は、乾燥・敏感・インナードライなど多くのトラブルの出発点になります。
まず最初に、「頬が乾燥しているかどうか」を確認しましょう。
皮脂量よりも“水分量”が肌タイプの基準として最重要です。
② 皮脂量の出方を見る(Tゾーン・Uゾーン両方)
脂性肌か混合肌かを判断する鍵がこのポイント。
Tゾーンだけ皮脂が多いなら混合肌、全体がテカる場合は脂性肌の可能性が高くなります。
③ 刺激に対する反応を見る
赤み・かゆみ・ピリつきなどの反応は、乾燥・敏感肌判定に直結します。
これら3つの視点を組み合わせることで、正確な肌タイプに近づいていきます。
肌タイプ別チェックポイント|迷わず判断できるプロの基準
ここでは、代表的な肌タイプ5種を正確に見分けるための具体的なポイントを紹介します。
乾燥肌の見極めポイント
★決め手になる特徴
- 洗顔後、頬が突っ張る
- 皮脂がほとんど出ない
- キメが粗くなっている
- ファンデーションが粉を吹く
- 肌が固く、ごわつきやすい
乾燥肌は、水分も油分も不足している状態です。
頬の乾燥が最も判断しやすいポイントで、触ると“しっとり感がなく硬い”のが特徴です。
また、赤みやかゆみがある場合は「敏感肌を併発した乾燥肌」の可能性もあります。
脂性肌の見極めポイント
★分かりやすい特徴
- 顔全体がテカりやすい
- 毛穴が開きやすく黒ずみやすい
- 皮脂によるベタつきがある
- 化粧崩れが早い
脂性肌は、皮脂量が多く“顔全体”がテカることが最も大きな特徴です。
頬やフェイスラインまでべたつく場合は、ほぼ脂性肌と考えてよいでしょう。
混合肌の見極めポイント(もっとも多いタイプ)
★判断基準
- Tゾーンは皮脂でテカる
- 頬は乾燥してつっぱる
混合肌は、皮脂分泌と乾燥が肌の部位によって大きく異なる肌タイプ。
現代女性で最も多く見られます。
注意すべき点は、“Tゾーンが少しテカるだけでは混合肌と断定しない”こと。
頬の乾燥がある場合にのみ混合肌と判断します。
敏感肌の見極めポイント
★判断のポイント
- 赤み・かゆみ・ヒリつきが出やすい
- 季節の変わり目にトラブルが出る
- 化粧品が合わないことが多い
- ちょっとした摩擦で赤くなる
敏感肌は“刺激に弱い状態”の総称で、乾燥肌から派生していることが多くあります。
肌分析では、乾燥とセットで見極めることが重要です。
普通肌(理想的なバランス肌)の見極めポイント
★見極めの基準
- 水分と油分のバランスが安定
- テカりも乾燥も目立たない
- キメが整っていてトラブルが出にくい
普通肌は理想的な状態ですが、季節によって乾燥肌寄り・混合肌寄りに変わりやすいため、油断は禁物です。
定期的な肌分析で現状チェックを続けることが大切です。
見極めが難しいケース|プロが注意して見ている2大タイプ
肌分析に慣れていないと、多くの人が間違えるのが以下の2つです。
インナードライ肌(乾燥+皮脂過多)
表面はテカるのに内部は乾燥している状態。
とくに以下の状態が当てはまる場合はインナードライの可能性が高いです。
★特徴
- Tゾーンがテカるのに、夕方には頬が乾燥する
- 化粧崩れが早い
- 触るとごわつきがある
- 毛穴詰まりが多い
皮脂が多いからと“さっぱりケア”に偏ると悪化しやすいため、正しい見極めと保湿ケアが必要です。
敏感×乾燥肌(トラブルが出やすい複合タイプ)
赤み・かゆみ・ピリつきがあり、乾燥が根底にあるケース。
刺激が出るため、自己判断で化粧品を変えると悪化することもあります。
★特徴
- 少しの摩擦で赤くなる
- 頬が乾燥しすぎてヒリヒリする
- 新しい化粧品が合わない
このタイプは、保湿とバリア機能ケアを優先する必要があります。
サロンで行う肌分析の流れ|プロの視点を分かりやすく解説

肌分析は、自宅でもある程度できますが、やはりプロが行う肌分析は精度が違います。
サロンでは、視診・触診に加え、カウンセリング・機器の活用・生活背景の聞き取りまで、段階的に肌を深く理解していくのが特徴です。
ここからは、エステサロンやスキンケアカウンセリングの現場で実際に行われている肌分析の流れを解説します。
サロンに行く前に知っておくと、施術効果の理解も深まり、満足度が大きく向上します。
Step 1:カウンセリング(問診)で肌の“過去と現在”を知る
サロンの肌分析は、最初に「カウンセリング」から始まります。
これは肌を見る前に、トラブルの原因となり得る要素を整理するための重要工程です。
カウンセリングで確認する主な内容
- 現在気になる肌悩み(毛穴・乾燥・しみ・しわ・ニキビなど)
- スキンケアの習慣(使用中のアイテム・使用量・使い方)
- 日常生活(睡眠・食生活・ストレス・運動)
- 過去の肌悩みや治療歴
- 女性ホルモン周期(特に女性の場合)
- アレルギーや敏感症状
肌トラブルの多くは、「生活要因 × スキンケア習慣 × 肌質」の複合的な影響で起こっています。
プロはここで“肌の背景”を整理し、その後の視診・触診で答え合わせをする流れで分析します。
Step 2:クレンジングで肌をニュートラルな状態に戻す
サロンの肌分析では、必ずメイクと皮脂を落とし、素肌の状態を整えます。
これは非常に重要な工程で、
メイク残り
日焼け止め
皮脂の酸化
ホコリや汚れ
が残っていると、肌が正確に観察できないためです。
クレンジング時にも、プロならではの視点があります。
クレンジング中に確認するポイント
- 摩擦に対する反応(赤み・ピリつき)
- 皮脂汚れの量
- 毛穴汚れの付き方
- メイク崩れの仕方(乾燥 or 皮脂によるものか)
すでにこの段階で、肌タイプの目安がついていることも多いのです。
Step 3:視診(目で見る分析)で肌の“表面状態”をチェック
クレンジングで素肌になったら、いよいよ視診に入ります。
サロンの視診は、ただ「見る」だけではなく、光の角度を変えながら肌の凹凸と色を丁寧に観察します。
プロが重点的に見る項目
- キメ(皮溝・皮丘)の整い方
- 細かい=健康
- 粗い=乾燥 or ターンオーバーの乱れ
- 毛穴の形
- 丸い毛穴=皮脂過多
- 楕円形の毛穴=乾燥/たるみ
- 黒ずみ=角栓・皮脂酸化
- 肌トーン・くすみの種類
- 青ぐすみ=血行不良
- 黄ぐすみ=糖化
- 茶ぐすみ=メラニン
- シワの種類
- 乾燥による細かいシワ
- 表情による深いシワ
- 赤み・炎症の位置
- 頬の赤み=乾燥 or バリア機能低下
- 小鼻の赤み=摩擦 or 皮脂バランスの乱れ
視診では、“肌の表層だけでなく、その奥にある原因を推察する力”が重要です。
Step 4:触診(触れて判断)で“内部の状態”を見る
視診で得られた情報を、触診で補足します。
触診は、肌の“内部状態”を知るのに欠かせない工程です。
触診で確認する項目
- 皮膚の柔らかさ
- 柔らかい=水分がある
- かたい=乾燥・角質肥厚
- 弾力
- 押した後の戻りが早い=ハリがある
- 戻りが遅い=エイジングサイン
- 表面のザラつき
- ターンオーバーの遅れが疑われる
- 皮脂の質
- サラサラ=正常
- ベタつく=皮脂の酸化 or 過剰分泌
触診は、視診では分からない「水分と油分のバランス」「ストレス肌の硬さ」「隠れ乾燥」などを判断する助けになります。
Step 5:肌分析機器の測定(必要に応じて)
サロンによっては、肌分析機器を使用してさらに細かい数値を確認します。
機器で分かる主な項目
- 水分量
- 皮脂量
- 角質状態
- メラニン量
- 毛穴の深さ
- しみ予備軍
- 皮膚温度(血行状態の目安)
機器の数値はあくまで“参考データ”ですが、視診・触診とあわせることで、より正確な肌分析が可能になります。
Step 6:総合判断とケアの提案
最後に、「カウンセリング × 視診 × 触診 × 機器の数値」これらを総合して、肌タイプやトラブルの原因を判断します。
プロはここで原因を丁寧に整理し、最適なケアを分かりやすく提案します。
サロンでの提案例
- 乾燥と毛穴開き→「インナードライ肌」対策
- 頬の赤み→バリア機能改善
- しみ予備軍の多さ→紫外線対策と美白ケア
- エイジングサイン→ハリ・弾力ケア
サロンの肌分析の価値は、「原因を明確にして、迷いなくケアを進められること」にあります。
セルフチェックやオンライン診断と組み合わせることで、お客様の自己理解も深まり、より質の高いカウンセリングが実現します。
まとめ|肌分析は“正しいケアへの最短ルート”
肌分析は、単に「乾燥している」「テカっている」といった表面的な状態を見るものではなく、肌質・肌状態・生活背景・ゆらぎ要因を整理し、肌を正しく理解するための技術です。
肌分析ができるようになると、
・自分の(またはお客様の)肌に本当に必要なケアが分かる
・化粧品選びや施術提案に“迷い”がなくなる
・トラブルの原因を特定し、改善までの道筋を描ける
・季節・年齢・ホルモンによる変化に柔軟に対応できる
など、スキンケアの質が大きく向上します。
特にサロンでは、カウンセリング → 視診 → 触診 → 機器測定 → 総合判断という一連の流れの中で、肌分析が“提案の土台”となり、施術結果や満足度を左右する重要な工程です。
肌は毎日変化します。
だからこそ肌分析を習慣にし、「今の肌に最適なケア」を更新し続けることが、美肌を育てる最短ルートです。
日本スキンケア協会の資格講座では、今回の内容をさらに体系的かつ実践的に学ぶことができます。
より深い理解を身につけたい方は、ぜひ併せてチェックしてみてください。
あなたの肌、そしてお客様の肌を“正しく知ること”から、スキンケアは大きく変わります。








