あまり触れてはいけない皮膚状態

皮膚は人体の最外層にあるため、様々な刺激を受けやすい臓器です。

 

ある程度は“外界からの刺激に対する壁”となり人体を

守っていますが、慢性的なものや強い刺激を受けてしまうと、お肌はあらゆる症状を呈し、変化を起こしてきます。

膚科の教科書には必ず『発疹学』という項目があり、

これは皮膚科医にとって基本であり、重要なもので、診て触って診断する方法です。

 

皆さん、皮膚科受診をされたことはありますか？

皮膚科医は必ず、症状のでている発疹部を診て、触って

どんなことが起きているか、どんな病気が疑われるかを考えていきます。

その中でも、『こういう症状は触れたり、押したりしてはいけない』というものがあります。

それらを皆さんも知っておいて損はないでしょう。

 

 

 

 

まずは赤みのあるものです。

赤みが出ている時、考えるのは皮膚炎なのか感染なのか、単純な血管拡張かその他かということです。

赤みは紅斑（こうはん）や紫斑（しはん）、発赤（ほっせき）といいます。

紅斑は主に湿疹の状態です。

何らかの原因で炎症が起き、血管が拡張している状態です。

たいていかゆみがあります。

乾燥肌で赤みがある時も炎症の部類ですので同じ状態です。

 

次に、紅斑と似たようなものに紫斑があります。

文字のごとく赤～紫、青色の発疹です。

こちらはいわゆる“皮下出血（赤血球が血管外へ露出している）”の状態です。

外傷性のものや紫斑病といわれる病気が原因のこともあります。

最近加圧マッサージが流行ですが、これによって

赤いブツブツが出る方がいますが、これは小さい皮下出血といえます。

 

紅斑と紫斑は判別の難しいものがあります。

そこで識別する方法ですが、皮膚を押して（毛細血管がつぶれて）消えないものは紫斑です。

次に感染による赤みは細菌性、ウイルス性とありますが、

とにかく押して痛がる、腫脹感がある、熱感がある、また発熱しているときは要注意です。

すぐにでも皮膚科受診の対象になります。

 

 

 

 

赤みとふくらみをもち、かゆみを伴うものに膨疹（ぼうしん）というものがあります。

これはいわゆる蕁麻疹です。

単純に赤みがあるものは、例えば赤ら顔、血管腫があります。

これらはたいてい小児期からあるものがほとんどです。

 

次に色素斑です。

原因となるのはほとんどがメラニンです。

特に刺激を与えてはいけないものに、肝斑と炎症後色素沈着があります。

とにかくこの二つは刺激、過剰な光、レーザーなどで悪化します。

肝斑は今まで飲み薬が治療の主でしたが、最近では

特殊なレーザー照射方法であるレーザートーニングで改善がみられます。

炎症後色素沈着は、両頬など骨を触る部位を繰り返し摩擦、

洗顔しすぎるなどの刺激で色素斑が出現するものです。

刺激をやめるとよくなります。

 

皆さんは、びらん、潰瘍（かいよう）という言葉を聞いたことがあると思います。

それぞれ削れている状態を現すものです。

皮膚には表皮、真皮があります。

表皮が欠損するものを表皮びらん、欠損が真皮に及ぶものを皮膚潰瘍といいます。

もちろんどちらも皮膚構造が壊れているので、化粧品などが浸透しやすく、刺激となり、たいていはしみて、痛みを伴います。

もちろんこういう場合は薬を使用するのが一番ですので、無理に触らず、皮膚科受診をすすめてください。

 

これ以外にも発疹学としての皮膚症状はたくさんあります。

代表的なものだけ覚えておくのもいいと思いますので、

詳細が知りたい方は是非、皮膚科学の本を読んでください。

 

一つでも多くお肌についての知識があれば、

自分の理解も深まりますし、人のお肌を触る職種の方は、

お客様へのアドバイスがしやすくなると思います。

 

 

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記事

濱野 英明（はまの ひであき）先生

テティス横濱美容皮膚科 院長

日本皮膚科学会 皮膚科専門医

一般社団法人日本スキンケア協会 顧問

ヒアルロン酸・ボトックス注入認定指導医

川崎市立川崎病院、慶應義塾大学病院皮膚科、稲城市立病院皮膚科、済生会横浜市南部病院皮膚科での勤務を経て、横浜の桜木町駅前に医療とエステを融合させた「テティス横濱美容皮膚科」を開設。日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本東洋医学会、日本レーザー医学会等に加盟し、最新の確かな情報を基に、安全で効果の高い美容医療を提供している。また、ミス・ユニバースやミススプラインターナショナルのビューティーキャンプ講師や審査員も務める。

 

 

 

 

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