2020年4月27日2023年11月24日大学教授に学ぶ正しい化粧品の知識

毛髪保護効果のある「カゼインタンパク質」

今回は、美容成分・毛髪保護効果のある「カゼインタンパク質」についてお伝えしていきます。

 

カゼインはリンタンパク質の一種で、乳の主要なタンパク質です。

 

牛乳中のカゼイン含量は、約3% (全乳タンパク質中の約80%)、ヒトでは0.9%といわれ、すべてのアミノ酸を含むタンパク質です。

 

なお、牛乳カゼインは単一なものではなく、α-カゼイン(75%、等電点pH4.0~4.1)、β-カゼイン(22%、等電点pH4.5)、γ-カゼイン(3%、等電点pH5.8~6.0)に分けられる複合タンパク質です。

 

 

カゼインは、増粘剤、安定剤、乳化剤、接着剤として化粧品に使用されています。

 

しかしながら、牛乳カゼインの平均分子量は、約37万程度であり、水に不溶なため用途に制約がありました。

 

 

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そこで、酸やアルカリ、あるいは、酵素により加水分解して水に可溶のポリペチドとし、化粧品原料として汎用できるようにしたのが加水分解カゼインです。

 

加水分解カゼインは牛乳カゼインを加水分解して得たリン酸エステル含有ポリぺプチドです。

 

へアダメージ時の構造変化やアミノ酸組成を走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡で観察した報告によると、毛髪のCMC (Cell Membrane Complex; 細胞膜複合体)の保護が重要であるとされています。

 

シルクペプチド、非熱凝固卵白、ケラチンぺプチド、コラーゲンぺプチドなどのタンパク質やタンパク質の加水分解物は、傷んだ髪に吸着して修復や保護の効果が期待され、へアケア製品に毛髪保護剤として用いられてきました

 

 

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毛髪のCMCは、シスチン含量が少なく、非ケラチン性の特徴を持っていますが、加水分解カゼインもシスチン量が少なく、他のアミノ酸組成が毛髪のCMCに比較的近似しています。

 

毛髪のCMC類似成分を配合するというコンセプトで、加水分解カゼインがヘアケア製品に使用されるようになりました。

 

 

しかしながら、加水分解カゼインはシャンプーで経時での変臭があり、その配合量をかなり低く抑えねばならないという問題があります。

 

 

カゼインタンパク質は加水分解カゼインと比較すると、シャンプーでの匂い安定性が良くまた分子量が大きいという特徴があります。

 

髪に弾力を与える効果が期待できます。

 

 

 

この記事を書いた人

前田 憲寿 先生

前田 憲寿 先生

*医学博士

*東京工科大学 応用生物学部 教授

*日本スキンケア協会 顧問

*特許庁 機能性皮膚化粧料調査委員会 委員長

九州大学大学院薬学研究科、東北大学大学院医学研究科を経て、資生堂ライフサイエンス研究センター皮膚科学研究所にて主任研究員を務める。2007年に東京工科大学バイオニクス学部教授、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。2008年より、同大学応用生物学部、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。専門分野は、香粧品科学、皮膚科学、分子細胞生物学、生化学、薬理学など。テレビなどのメディア出演も多数。

 

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