2018年7月25日2024年3月28日大学教授に学ぶ正しい化粧品の知識

角層細胞間脂質の生成を促進するメバロノラクトン

皮膚の最も外側にある表皮は、外的刺激や乾燥から私たちの身体を守っている重要なバリアです。

 

肌のバリア機能を保つためには、角質細胞間脂質であるセラミドやコレステロール、長鎖脂肪酸などが重要な役割を果たしています。

 

これらの生成能力が低下した肌では、バリア機能が低下し、乾燥や外的刺激などの影響を受けやすくなり、乾燥肌や敏感肌などの肌トラブルが起きやすくなります。

 

敏感肌の症状としては、痛みやひりひり感、刺激感があり、その要因としては、ニキビ、かぶれ、アトピー性皮膚炎などが挙げられます。

 

敏感肌の症状を改善する方法のひとつとして、角層の保湿機能・バリア機能を改善するスキンケア化粧品の使用があります。

 

 

角層の保湿機能・バリア機能は、主に角質細胞間脂質が担っています。

 

この角質細胞間脂質は、顆粒層の細胞質内に豊富に存在している層板顆粒(ラメラ顆粒; lamellar granule)がアポトーシスに陥るときに細胞外に分泌され、角化細胞周囲を取り巻いて形成します。

 

 

セラミドは、スフィンゴイドに脂肪酸が酸アミド結合をしたもので、長鎖脂肪酸の占める割合が50%以上であることが皮膚のセラミドの特徴として挙げられます。

 

層板顆粒(ラメラ顆粒)の形成を促進し、表皮バリア機能の向上させる美容成分にメバロノラクトンがあります。

 

メバロノラクトンはメバロン酸が脱水した物質で、水中ではメバロン酸になります。

 

メバロン酸はビタミンK、CoQ10(ユビキノン)、コレステロール、スクワレンなど各種のステロイドやイソプレノイドの前駆物質です。

 

メバロン酸を塗布すると、皮膚の老化に伴って低下する遊離脂肪酸やコレステロールの合成能力を回復することも報告されています。

 

 

 

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皮膚のバリア機能や炎症とPPAR(Peroxisome proliferator-activated receptor)との関与が示唆されています。

 

PPARとは核内受容体の一つで、RXR(Retinoid X receptor)とヘテロダイマーを形成し標的遺伝子のプロモーター領域に結合することにより、遺伝子発現を制御している転写因子であり、
脂質・糖代謝、細胞増殖、分化などに関与しています。

 

 

PPAR-αの発現はアトピー性皮膚炎患者の皮疹部では、正常部に比べておよそ50%減っていることやPPARδ/βが欠損するとバリア機能の低下や炎症が引き起こされることが報告されています。

 

メバロノラクトンによって培養表皮角化細胞のPPARαとPPARδ/βのmRNAが増加することから、メバロノラクトンは、表皮角化細胞の遊離脂肪酸合成を促進し、それによってPPARαとPPARδ/β活性化を経て層板顆粒(ラメラ顆粒)の形成を促進して、表皮バリア機能を向上させると考えられます。

 

 

この記事を書いた人

前田 憲寿 先生

前田 憲寿 先生

*医学博士

*東京工科大学 応用生物学部 教授

*日本スキンケア協会 顧問

*特許庁 機能性皮膚化粧料調査委員会 委員長

九州大学大学院薬学研究科、東北大学大学院医学研究科を経て、資生堂ライフサイエンス研究センター皮膚科学研究所にて主任研究員を務める。2007年に東京工科大学バイオニクス学部教授、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。2008年より、同大学応用生物学部、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。専門分野は、香粧品科学、皮膚科学、分子細胞生物学、生化学、薬理学など。テレビなどのメディア出演も多数。

 

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